転写因子Interferon regulatory factor 4(Irf4)を欠損するSLEモデルマウス(Irf4-/-MRL/lpr)では、自己抗体や免疫複合体が形成されないにも関わらず、細胞増殖性の糸球体腎炎と、脾臓CD4+T細胞数の著明な増加が認められる。同マウスでの腎炎のメカニズムを明らかにするために、同マウスで増殖しているCD4 陽性T細胞の解析を行ったところ、対照群と比較してIrf4-/-MRL/lprマウスではIFN-γ産生Th1細胞、およびCD62L+/CD44+のメモリーCD4+T細胞とCD62L-/CD44+のエフェクターCD4+T細胞の有意な増加が認められた。Irf4欠損のSLEモデルマウスNZM2410 系でも同様の解析を行ったところ、軽度の細胞増殖性糸球体腎炎とIFN-γ産生Th1細胞の増加が認められた。以上の結果から、Irf4はIFN-γ産生性のメモリーTh1細胞やエフェクターTh1細胞の分化に関与し、それらの細胞がIrf4欠損SLEモデルマウスで観察される免疫複合体非依存性のループス様腎炎へ関与することが示唆された。
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