1.本研究の目的:若年女性生殖器がん患者とそのパートナー各々が、がんの罹患と治療を通し、相手との関係においてどのような体験をしているのかを明らかにし、両者の関係構築の様相を導いて看護援助を検討すること。 2:研究方法(1)調査場所:がん専門病院の婦人科外来(2)調査期間:平成23年4月~12月(3)研究対象者:初発の子宮がんまたは卵巣がんと告知され、子宮摘出術または卵巣摘出術後、1~3年以上経過した20~30歳代女性とそのパートナー(4)調査内容:がんの診断時から治療を経て現在に至るまでの、パートナー(患者)との関係の変化とそれに対する思考や感情や行動 3:結果(1)対象者の概要:研究協力に同意が得られた対象者は患者とそのパートナー6組12名。患者の平均年齢35.5±2.4歳。病名は子宮頸がん5名、子宮体がん1名。術式は、広汎子宮全摘術4名、準広汎子宮全摘術1名、子宮全摘術1名。術後経過年数は24.3カ月。パートナーの年齢30~40歳代。 (2)若年女性生殖器がん患者のパートナーとの関係における体験は、子宮摘出に対する夫の落ち込みが激しく戸惑う、夫が何となくセックスを拒絶し元の性生活に戻れない、自分の心身を分かってくれない夫に苛立つ、夫への愛情が増し女性としての自分をより意識するなどが明らかとなった。パートナーの患者との関係における体験は、子どもを持てない辛さは妻にも誰にも言えない、妻の更年期症状への対応に困る、HPV感染は自分のせいだと思うともうセックスはできない、頑張る妻を見て可能な限り妻を支えようと思う、などが明らかとなった。以上から、夫は妻のがん罹患と妊孕性喪失に苦悩しつつも妻を献身的に支え、患者は夫への愛情を増し、両者の結び付きは強まるが、一方で相互理解のずれの存在や、依然として性生活を再開できない状況も明らかとなり、夫の心理的苦痛の軽減、相互理解のずれの修正の必要性が示唆された。
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