研究概要 |
OPNはトロンビンで切断されることによって、SVVYGLR配列(マウスではSLAYGLR配列)が、C末端に表れることによって、a9β_1integrinとの結合能など、炎症細胞の遊走に機能すると考えられる。今回同部位に対する抗体を作製し、結石形成への影響を検討した。抗体は、北海道大学遺伝子制御研究所との共同研究により、合成ペプチド(VDVPNGRGDSLAYGLRS)をマウスに免疫して、脾臓からB細胞を採取したのち、ハイブリドーマ形成させ、モノクロナール抗体を作製した。In vitroにおいて、NRK細胞にCOM結晶を蒔いたのち、抗体を投与しCrystal cell interactionを検討したところ、抗体投与により、COM結晶の細胞への接着が低下した。In vivoにおいては、8週齢C57BL/6マウスに対して、100mg/kgのグリオキシル酸を連日腹腔内投与し、投与-1、 2、 5, 8日目に作成した抗SLAYGLR抗体を腹腔内に投与(250μg、 500μg、 1000μg)した。抗体投与群では、抗体濃度依存性に結晶形成量が減少した。また走査型電子顕微鏡により結晶形態を観察したところ、正常群の結晶は放射線状に成長する密度の高いものとなるものの、抗体投与群においては、結晶がばらばらと細かくなる傾向を認めた。OPN抗体は、細胞と結晶との接着を低下させることで、結晶形成を抑制に働くことが示唆された。同部位の抗体を臨床に応用することで、尿路結石予防における分子標的治療に繋がる可能性がある。
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