研究概要 |
本研究の目的は,これまで注目されることの少なかったIFN療法が終了したC型慢性肝炎患者の抱える不確かさを明らかにすることである.今年度はこれまで筆者がC型慢性肝炎患者に対して行った質問紙調査の調査結果を再度見直すことをした. 1. C型慢性肝炎患者の不確かさ (1)対象:C型慢性肝炎患者119名(男性52名,女性67名) (2)方法: 質問紙調査 (3)期間: 平成19年6~7月 (4)分析: 質問紙を用いて,量的研究を行い分析した. (5)倫理的配慮:倫理委員会の承認を受けるとともに対象者の自由意思による参加と結果の匿名性について文書と口頭で説明し,同意を得た. (6)結果: 平均年齢63.1±10.8歳,IFN療法中の患者38名,IFN療法をしていない患者81名.不確かさと関連があったものは医師の説明満足度とSE, POMSであった.C型慢性肝炎患者の不確かさは,医師の説明満足度とPOMS下位尺度「不安-緊張」の2要因でR^2=.769であった.IFN療法の有無によって,不確かさ得点に差はみられなかった.(7)考察:C型慢性肝炎患者の不確かさは,SEやPOMSの要素を含むものであると考えられる.IFN療法の有無と不確かさの関連がなかったのは,ウイルス除去を目的としない70歳以上の患者が多く含まれており,不確かさへ影響するほどの副作用症状等の問題が少ないためと考えられる. 2. C型慢性肝炎患者への聞き取り調査 IFN療法後の患者の不確かさを明らかにするインタビューの前に,現在2回目以上のIFN療法を行っている患者に聞き取り調査を実施した.その中で,患者はIFN療法の効果やC型慢性肝炎という病気に対して多くの不確かさを抱いていることがわかった.患者からは自覚症状がなく,IFN療法をしなければ生活に何の問題もないため,再度IFN療法を受けることに躊躇する思いと現在IFN療法を受けていないことで病気が悪化するのではないかという不安の気持ちが語られた.ここからIFN療法後の患者もIFN法中の患者と同じように不確かさを抱えているとわかった.
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