昨年度から引き続き、「アトピー性皮膚炎患者のステロイド外用における意思決定を支援する看護介入」を実施し、その効果の分析を行った。中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者7例に1人につき、2週間~6ヶ月間、3~6回の実践を行い、その過程と介入前後の評価を研究データとした。介入前後で指標とした『皮膚状態の改善』『皮膚に対する正しい知識の習得』『セルフケア能力の向上』『介入後のステロイド選択の有無』を測定し、6例において皮膚状態の改善、疾患に関する知識習得率の増加、セルフケア能力の向上がみられた。『介入後のステロイド選択の有無』に関しては、2年間の継続介入期間において7名全員がステロイド治療を引き続き選択している。 介入の過程に【アトピー性皮膚炎改善のための共同関係の確立】【スキンケアの提供】【ステロイドの効果を体験するスキルの提供】【今後のステロイド外用の継続へのサポート】に加え、意思決定支援として、<治療で皮膚が改善しなかった体験を失敗ではなく、治療までの過程として聴く><アトピー特有の体験を分かり、表には見えない皮膚疾患の身体のしんどさを知っている人になる><辛く言葉にできなかったことを看護師として聴きながら、楽しいこと誇らしいことも共有していく><皮膚状態を観察し、改善した皮膚を患者に見て触ってもらいながら皮膚の管理の方法を伝える><ステロイドの使い心地や今後どう使っていこうと思うかについて確認する>という支援が結果として必要であることが分かった。 今回の研究により、ステロイド外用における意思決定支援とは、もう治療法がステロイドしかないから選択する、ということですべてが決まるのではなく、選択した上でどう外用していくか、外用しながら身体の変化にどう付き合っていくか、ということの調整を支えていく必要があることが示唆された。
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