本研究では認知症を持つ高齢者の「つながり感」と認知症の行動と心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:以下、BPSD)との関連を明らかにすることが目的である。 本年度は倫理委員会の承認を得て病院および施設での調査を行った。対象者2名を施設から紹介を受け、参加観察法を用いて対象者の1日の生活を記録した。倫理的配慮から調査時間は8:00~17:00の間とし、プライベートな時間の観察は行わないようにした。 得られたデータから対象者の「つながり感」のある言動とない言動を抽出し、いつ・誰と・何と・どこで・どのような「つながり感」を感じているのかカテゴリ化している。データ分析に際して高齢者看護に精通する研究者のスーパーバイズを受けている。同時に、昨年度から引き続き行っている文献検討から、認知症高齢者のBPSDに関する評価尺度と調査によって得られた結果との比較を行う予定である。 本年度得られた結果は、学会での発表および学会誌への投稿を行うように準備している。また、得られたデータからつながり感の観察可能な項目を作成し、再評価とカテゴリの洗練化を行う。今後、つながり感の評価の可能性を検討するツールとしてBPSD評価尺度を併用し、つながり感とBPSDの相関を見る予定である。さらに、「つながり感」の持てる看護介入と高齢者医療介護福祉サービスの提案を行う.認知症高齢者のBPSDと「つながり感」との関係を明らかにする。
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