研究概要 |
平成21年度は,研究対象地域の決定,介入のための地域の基盤つくり,ベースライン調査を実施した. 本研究の特色は2点である.1つは,介護予防の一般高齢者施策として地域で実践可能な効果的な介入プログラムを開発し,その評価をプログラムの参加者に対してではなく地域高齢者全体に対して実施することによりポピュレーションアプローチとしての効果を検証すること,2つめは,介入プログラムは研究者が考案したものを地域高齢者が実施する従来のトップダウン型ではなく,地域高齢者自身が地域のニーズに基づいてプログラムを検討し,実践する参加型アクションリサーチであることである.このような本研究の特色を生かすために,研究対象地域の設定は,生活機能の低下した場合においても徒歩での往来可能な日常生活圏である高齢者にとって身近な単位自治会とした.研究対象地域の決定においても行政や研究者のトップダウンではなく,研究趣旨と概要の説明を8つの連合自治会に対して行い,研究対象となる単位自治会を募り,希望のあった単位自治会との話し合いにより研究対象地域を決定した.さらに,介入のための基盤つくりとして介入地区の自治会役員と研究者,行政とで懇談会を行い,地域課題の共有と信頼関係の構築に努めた. ベースライン調査は2~3月に実施した.調査は,介入地区と対照地区の60歳以上全員274名を対象に自記式質問紙を郵送し,回収は調査員による訪問,会場への持参,郵送の3つの方法により221名分を回収した(回収率80.7%).質問項目は,地域における役割の実践の効果を心身の健康および社会参加,社会関係の変化により評価可能となるよう,社会活動(地域活動,ボランティア活動),社会関係(友人,近所付き合い),生活機能(老研式活動能力指標),生きがい(生きがい感尺度K-I)とした.平成22年3月末には,データ入力,エラーチェックを終了した.
|