炎症性腸疾患(IBD)に関する患者会の全国規模のネットワーク組織に加盟し研究協力に同意を得た患者会(19会)に加入している会員1920人を対象に、郵送による無記名自記式質問紙調査を実施した(有効回答率は41.4%)。分析対象者は潰瘍性大腸炎患者が392人(50.0%)、クローン病患者は383人(48.9%)であった。(以下、先行に潰瘍性大腸炎患者、後方にクローン病患者に該当する数値を示す。)分析対象者は平均年齢は46.5歳、40.6歳、男性49.5%、70.8%、障害者手帳保有率ほ7.7%、38.5%、難病発症から平均6.6回、5.0回の入院を経験していた。就労者ほ64%、70.0%で、正規雇用ほ49.6%、33.3%であった。難病とともに無理なく働くための職業発達尺度は、働くことの意味や価値を認識し働きたいという思いがあるとと」「無理なく働ける仕事内容、職場の選択」「症状や障害による仕事遂行に影響があること」「職場での困難への対処法があること」「職場の入たちに理解と支援を申し出る」「難病があっても働けると思うこと」「採用面接時の病気開示法や職探しの手段がある」「職業における関心領域が変化させることや、新たに職業スキルを身につけること」「不安定な体調に振り回されない」「労働能力を適正に評価する」「体調に応じて生き方、仕事、付き合いを変更させる」「他者や社会の冷たいまなざしは気にしない」の12因子に分類され、信頼性係数も0.08以上であった。この各因子は「難病があると働けない、働かなくてもよいという家族の意向」「上司や職場の人たちに難治性、再燃性の疾患であることを分かってもらうこと」など17項目の就労支援内容との特徴的な関連が確認され、どのような支援や環境でどの領域の職業発達が促進されるかも明確になった。難病就労支援に環境支援とともに必要とされた無理なく働くための職業発達の実態と、その影響要因を支援内容、職場や家族環境からも明らかにでき、今後の包括的な就労生活支援への重要な示唆を得たと考える。
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