本研究は、中枢神経系におけるADAM22の軸索側での局在機構とその機能の解析を目標としている。軸索においてジャクスタパラノードに局在するADAM22の機能は今まで不明であったが、申請者のグループは、ADAM22のノックアウトマウスの解析により、これと結合する足場タンパク質であるMAGUKs(PSD-95/PSD-93)のジャクスタパラノードへの局在制御にかかわることを解明した。しかしながら、PSD-93/95ノックアウトマウスの解析によりADAM22の局在はジャクスタパラノードにおいて失われなかった。ADAM22とMAGUKsの強い連関が解明されたが、ADAM22やMUGUKsがなくなったにもかかわらず、それと結合するKv1チャネルの局在に変化はなく、なぜ、ADAM22及びそれと結合するMAGUKsがジャクスタパラノードに存在するのかは不明であった。このことは、ジャクスタパラノードにおいて他にもこれらにより局在を制御される分子の存在が推定される。また、ADAM22には複数のスプライスバリアントが存在しており、種々の改変体の発現解析によりこのスプライスバリアントに依存して軸索に局在することを解明した。スプライシングはニューロンやグリア細胞、さらに種々のニューロンに特異的に制御されることから、ADAM22はそれぞれの細胞に依存したスプライシングにより、局在制御やその機能を有することが考えられる。今後は、スプライスバリアント特異的な抗体の作成とこれに依存する結合分子の解析を行い、さらにin vivoにおける局在制御分子の探索とそれの機能解析を行う。
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