本研究は精神科看護師の継続教育におけるリフレクションを用いた研修のファシリテーター育成プログラムの構築に関する検討を行うことを目的とした基礎的研究である。研究参加者は精神科臨床経験5~10年程度の看護師5名である。参加者に2~3か月毎に「気がかりな出来事」を記述してもらい、その記述に基づいて半構成的面接を5回実施した。参加者に提示された「気がかりな出来事」の記述と面接によって、「気がかりな出来事」を詳細に再構成し、質的に分析した。その結果、参加者は【気がかりを覚える】と、【気がかりを確かめる】【状況の解釈を試み仮説を立てる】【関わりを吟味し試みる】【関わりながら観察し評価する】【状況を再解釈する】の段階を行きつ戻りつしながら状況に取り組んでいた。そして【自分と向き合う】ことが状況によりコミットすることとなり、リフレクションを深化させていた。この定期的に行われた面接によるリフレクションによって、参加者が自身の傾向に気づく、患者理解が深まる、状況を再解釈して実践を評価し、新たな関わりの糸口を見出していたことが伺えた。このことから実践についてのリフレクションが促進されるためには、「対話」が有用であることが示された。 ファシリテーター育成プログラム構築にあたっては、ファシリテーター自身がリフレクティブであることを重視し、そのためのプログラムを検討する必要がある。まずは、定期的に自身の実践についてリフレクションする場や機会をセッティングすることが重要であり、そのプロセスの中で、リフレクションに必要とされる基礎的スキルを高めていくことが求められる。さらに、他者のリフレクションに携わった経験をリフレクションする場や機会をセッティングするなどのプログラムが必要と考えられた。
|