破骨細胞は、単球・マクロファージ系細胞より分化することが知られている。この破骨細胞の分化は、骨芽細胞の発現するM-CSF、RANKLおよびOPGにより厳密に調節されている。我々は以前、生体内における破骨細胞分化過程において、細胞周期の停止した破骨細胞前駆細胞(静止期破骨細胞前駆細胞:cell cycle-arrested quiescent osteoclast precursors : QOP)を同定した。平成21年度は、骨髄中、および血中に存在するQOPの単離、および歯周病などの炎症性反応により発現するQOPの遊走因子の同定を目指した。骨髄中、および血中の単核球画分より、破骨細胞分化に必要な因子である、RANK、c-Fms抗体を用いたセルソーターによるQOP画分の分取を、共同研究機関である信州大学ヒト環境科学研究支援センター機器分析部門にて行い、その性状の解析を行った。(第27回日本骨代謝学会学術集会)。現在、歯周病などの炎症性反応による、骨吸収病変部において発現が亢進するケモカインおよびその受容体を探索中である。また、骨形成因子であるBMP-2を用いて異所性骨の形成時において、形成された骨に見られる骨芽細胞、またはその周辺の線維芽細胞様の細胞より発現の亢進の見られるケモカインおよび、その受容体の探索も行っている。QOP遊走因子は昨年度期間内に同定することが出来なかった。平成22年度も継続して探索を行う。
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