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2010 年度 実績報告書

マトリックス中の毛細血管様ネットワークを応用した歯周病原細菌の病原性の究明

研究課題

研究課題/領域番号 21890275
研究機関朝日大学

研究代表者

猪俣 恵  朝日大学, 歯学部, 助教 (40553798)

キーワード歯周病 / Porphyromonas gingivalis / 歯周組織由来細胞 / LL-37 / LPS / オートファジー
研究概要

本研究は、毛細血管様構造を呈する血管内皮細胞や歯周組織由来の細胞が歯周病原細菌の感染に対してどのような応答を示すのかを究明することを目的とし、昨年度は歯周組織由来細胞、特にヒト歯肉線維芽細胞(HGF)の歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis (Pg)に対する応答について調べた。その結果我々は、HGFはPg死菌あるいはPg死菌から放出したLPS線毛などの構成成分に対し炎症性サイトカインの産生やMAPKの活性化を誘導し、さらにこのHGFの応答は、歯肉溝の主要な抗菌ペプチドであるLL-37によって強力に抑制されることを見出した。得られたこれらの知見から本年度もHGFに着目し、LL-37によるHGFの応答抑制機構にはどのようなメカニズムが関与しているのかを検討することを目的とした。
最近、LL-37にはオートファジー誘導能があることが明らかにされた。オートファジーとは、自己の不要なタンパク質や細胞内に侵入した細菌を分解・排除する細胞生存機構ならびに感染防御機構として知られている。そこでLL-37によるHGFの応答抑制機構にはオートファジーが関与していると推測し、オートファジー阻害剤の存在下あるいは非存在下でLL-37ならびにLPSを作用させた。その結果、オートファジー阻害剤の非存在下ではLL-37によるNF-κB活性化抑制効果が認められたが、オートファジー阻害剤の存在下ではLL-37によるNF-κB活性化抑制効果が有意に抑制された。
本年度の研究より、HGFにおけるLL-37の細胞応答抑制機構は、オートファジーに依存的に発揮されることが示唆された。この知見は口腔領域の感染抑制機構におけるオートファジーの役割を初めて明らかにした知見であるため、今後の研究でさらに発展させる必要があると考える。また今後の研究で、本研究で得られたHGFにおける現象が血管内皮細胞においても見られるのかどうかを本研究計画をベースにして検討する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Suppressive effect of the antimicrobial peptide LL-37 on expression of IL-6, IL-8 and CXCL10 induced by Porphyromonas gingivalis cells and extracts in human gingival fibroblasts.2010

    • 著者名/発表者名
      Inomata Megumi, Into Takeshi, Murakami Yoshitaka
    • 雑誌名

      European Journal of Oral Sciences

      巻: 118 ページ: 574-581

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒト歯肉線維芽細胞のPorphyromonas gingivalisに対する応答におけるLL-37の影響2010

    • 著者名/発表者名
      猪俣恵、引頭毅、村上幸孝
    • 学会等名
      第52回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2010-09-21

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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