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本研究は交感神経系による骨代謝制御において、骨芽細胞の交感神経刺激シグナル伝達経路を明らかにするとともにTRPCチャネルの関与を検討することを目的として行った。ヒト骨芽細胞SaM-1において、ホールセルパッチクランプ記録下でのランプ電圧に対する電流応答が、ノルアドレナリンの適用によって用量依存的に抑制された。この電流応答の抑制作用はα_<1B>-アドレナリン受容体アンタゴニストであるchrolo-ethylclonidineの適用によって完全に拮抗された。またパッチ電極内液をKチャネル阻害剤であるCsClにした場合にはノルアドレナリンによって電流応答の抑制は見られず、むしろわずかな増強が見られた。一方、同じくKチャネル阻害薬であるtetraethylammonium (TEA)存在下では電流応答の抑制が見られた。以上の結果よりノルアドレナリンが骨芽細胞においてα_<1B>-アドレナリン受容体を介してCs感受性であり、TEA非感受性のKチャネルを抑制することが示唆された。多くの細胞種においてKチャネルが細胞増殖へ関与する事が知られており、ノルアドレナリンがKチャネルの抑制を介して骨芽細胞の増殖を制御している可能性が考えられる。今後の課題としてノルアドレナリンによって制御されるKチャネルの同定や、その細胞増殖活性への影響の検討が挙げられる。また今回、Cs存在下では電流応答の増強が見られたことから、弱いながらも他のチャネルの活性化も同時に起こっている可能性が考えられる。この作用にTRPCチャネルが関与している可能性についても検討課題の1つとして挙げられる。
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