研究概要 |
【1.研究目的】寝たきりの高齢者や認知症のある高齢者においては、食事摂取時に大脳の覚醒状態が十分でないと誤嚥の可能性がある。その点から、食事前には覚醒度を上げる看護ケアが必要であると考える。そこで、本研究においては、食前の手指の清潔ケアが生体を活性化させるかどうか、またケアの実施方法の違いが生体の活性化に及ぼす影響が異なるかどうかについて検証を行うことを目的とした。【2.研究方法】(1)被験者:研究の同意を得られた介護老人保健施設の入居者14名(男性3名・女性11名)とする。被験者は公募し、研究の主旨、目的、方法を掲示、応募のあった人を対象とした。本学の倫理審査にて承認を得て実施した。【2.測定項目と測定用具】(1)基礎データ:年齢、利き腕、要介護度、日常生活自立度(障害高齢者、認知症高齢者)(2)脳波データ:測定部位は、国際10/20法に基づく4点(Fp_1:左前頭部、Fp_2:右前頭部,C_3:左頭頂部,C_4:右頭頂部)である。(3)心拍変動データ:3点誘導法による心拍数の測定を行った。【3.実験手順】全ての被験者に「熱布使用による実験」と「温湯使用による実験」の二つの実験を実施した。「熱布使用による実験」では、40~41℃のホットタオルで、両手を指先から手首まで覆い(1分間)、その後乾燥したタオルで清拭を行った(1分間)。「温湯による実験」では、洗面器に40~41℃の湯を入れ、その中に両手を手首まで浸漬し(1分間)、その後乾燥したタオルで清拭を行った(1分間)。【4.分析方法】(1)データの分析区間の設定:分析を行う区間は「安静座位(ベースライン5分間)」、「温熱刺激(1分間)」、「触感覚刺激(1分間)」、「安静座位(5分間)」とする。(2)脳波の信号処理とパワー値の分析:α帯域(8~13Hz)とβ帯域(13~30Hz)を分析の対象とし、その帯域における脳波パワー値(単位:μV2)をデータ区間毎に算出する。比較に用いるパワー値は、各データ区間の安定した時間帯から選択した10秒ずつ6箇所(各区間それぞれ合計1分)のパワー値の平均値とする。(4)統計的分析:脳波パワー値を、ベースラインと熱布、温湯それぞれの手指清潔ケアによる感覚刺激時の値との比較、また熱布と温湯使用時の値について、二群間の比較を行う予定である。また、H21年度に行った若年者とデータ比較を行う予定である(データ解析中)
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