重症心身障害児(以下、重症児)では、医療依存度が低い例でも、突然死を起こすことがある。これらは、しばしば入眠中に起こり、重症児に対する在宅医療・看護の問題となっている。従って、睡眠環境や夜間のケアが、重症児の自律神経活動に与える影響を明らかにし、突然死のリスクを減少させる必要がある。 本研究では、就学期の重心児を対象に、自律神経活動の評価法として、1.加速度センサーを内蔵した心拍変動記録装置(アクティHR4)を用いた夜間心拍変動の測定、2.生活日誌の記録による夜間イベント(就寝・起床、食事、排泄、体位交換、吸引等)、3.質問紙による個人因子の調査を導入した。今年度は、使用機器の準備と測定手技の確立を中心に研究を進めた。アクティHR4、解析ソフト、解析用PCを購入し、使用方法の確認と測定手技の標準化を図った。また、同意書、生活日誌、質問紙の作成を行った。 平成22年度は、神戸大学保健学研究科の倫理委員会での研究実施に対する承認を得た後、神戸市、明石市の小学校、特別支援学校、療育施設に通学・入所する健常児、重症児を対象に、本格的なデータ収集を開始する予定である。分析の際には、睡眠環境、生活日誌の記述及び、MRI画像所見における障害部位との関連性を踏まえ、個人因子及び医療的依存度も含めて検討を行うことで、家族の在宅看護の能力を向上させると共に、夜間における個別的な在宅看護計画を立てることができると考えている。
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