本研究は訪問看護ステーションの看護師への聞き取り調査により精神科訪問看護の推進に関連する要因を明らかにすることを目的としている。平成21年度は精神科訪問看護を専門としていない訪問看護ステーション4箇所の研究協力を得て、各ステーション1~2名、計5名の看護師に対して聞き取り調査を行った。 調査の結果から、精神科訪問看護の実施を妨げる要因には、看護師の精神科訪問看護の経験不足から生じる不安、恐れ、知識不足等の看護師側の要因、人的な余裕のなさ等のステーション側の要因、紹介がない、訪問看護療養費に制限がある等の制度上の要因があることが明らかになり、実施を促進する要因にも、新たなケアに挑戦する姿勢、知識不足を補い能力を高める姿勢等の看護師側の要因、看護師への適切な心理的ケア、管理者による看護師の力量の見極めといったステーション側の要因、訪問看護療養費の改定等の制度上の要因があることが明らかになった。 精神科訪問看護に限らない、訪問看護制度あるいは訪問看護ステーションが抱える課題に加え、精神科訪問看護特有の課題が重なることたより訪問看護の実施が妨げられている現状があると考えられ、それぞれの課題に対する改善策を検討する必要があることが示唆された。 平成21年度の結果を踏まえ、平成22年度は精神科訪問看護を専門とする訪問看護ステーションの看護師に対して、精神科訪問看護の推進に関連する要因および推進のための方策に関する聞き取り調査を行う予定である。
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