研究課題
1.溶血反応を誘発する二酸化チタン(TiO2)のバイオマーカーであるコフィリンの同定二酸化チタンのナノ微粒子を曝露することで赤血球膜上に存在している低分子タンパク(Mw=27~37KDa)の発現が抑制されることが基礎実験の結果より示唆された。基礎実験ではこのタンパクがコフィリン(Mw=23kDa)と想定されたため、その同定作業を行った。しかしながら、結果に終始一貫的な再現性が見られなかったため、溶血反応を誘発する二酸化チタンに対するコフィリンを含む膜タンパクの同定には至っていない。2.A549肺胞上皮細胞における二酸化チタンのP25及びP90粒子の影響1).細胞毒性検討:二酸化チタン(P25およびP90粒子)とシリカ陽性対照(Min-U-Sil)の微粒子をそれぞれA549細胞に24時間投与したところ、Min-U-Sil粒子の場合のみがネクローシスの誘発に有意差は認めた。一方で、これら3種類の微粒子は用量依存性にアポトーシスを誘発した。2).IL-8遺伝子の発現:投与6時間後、P25およびP90においてIL-8mRNAの数がわずかながら増加した(250ug/ml)。その一方で、Min-U-SilにおいてはIl-8mRNAの数が用量依存性に著しく増加した。さらに、Il-8mRNAの発現に関して、Min-U-SilはP25やP90よりも強く影響していると考えられる。3).IL-8タンパクの遊離:投与24時間後、MiN-U-Silは遊離IL-8タンパクを用量依存性に増加させ、P25やP90よりも高い値を示した。P25(250ug/ml)において、遊離IL-8タンパクはわずかに上昇した。4).A549細胞におけるNF-kB活性:投与6時間後、P25、P90及びMin-U-silの投与によるNK-kB DNA結合の変化はなかった。
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Occupational Medicine (Published online March 14, 2011) doi : 10.1093/occmed/kqr011
巻: in press
Industrial Health
巻: 48 ページ: 857-863