研究概要 |
本研究はハンチントン病RNAi治療の実現を目指した「一塩基多型(SNP)を指標とするSNP識別アレル特異的RNAi技術を用いた変異型ハンチンチン対立遺伝子の選択的かつ効果的発現抑制法の確立」を目的としている。昨年度、研究代表者らは既に、治療技術基盤としての変異型ハンチンチン対立遺伝子に対するSNP識別アレル特異的RNAi誘導技術を確立しただけでなく、それに必須な変異型ハンチンチン対立遺伝子に対する新規SNP診断技術として長鎖繰り返し配列含有遺伝子の優先的回収法の開発に成功し、特許出願を行っている。最終年度となる本年度は、上記研究成果を論文としてまとめ、投稿した(Takahashi M, et al., PNAS 2010)。 さらに本年度は、研究代表者らが確立したアレル特異的RNAi誘導技術の汎用性や有効性を示すため、幾つかの優性遺伝性疾患(原因対立遺伝子)に該技術の応用を試みた。その結果、僅か一塩基の配列的差異を識別して特異的に発現抑制可能なRNAi誘導分子の配列的一般特性を分子生物学的実験によって明らかにし、この技術・知見を特許として出願した(特願2010-222847)。さらに、その技術を基盤として設計・選定したRNAi誘導分子が種々の優性遺伝性疾患に対して顕著な治療効果を示すことを生化学的または生理学的実験によって明らかにし、この研究成果についても特許出願を行った(特願2010-222847)。 研究代表者らが確立・発展させた上記技術は、次世代の治療技術として期待されているテーラーメイドRANi治療の実現に大きく貢献し得るものだと考えられる。
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