本研究の目的は、酸化修飾DJ-1の測定により、パーキンソン病を血液検査で診断できるELISAキットの開発を目標とする。家族性パーキンソン病の原因遺伝子のひとつであるDJ-1は、酸化ストレス下において106番目のシステインがスルフォン酸へと酸化されることが報告されている。これまでの研究から106番目のシステインが酸化したDJ-1に特異的に反応するモノクローナル抗の成および競合法ELISA系の構築を行った。本研究では、酸化DJ-1とパーキンソンの関連を検証を目的とする。薬物投与によるパーキンソン病モデル動物を作成し、経時的な血液中および脳組織中の酸化DJ-1上昇を報告した(雑誌論文1) 1. パーキンソン病モデル動物における酸化DJ-1の上昇 薬物投与によるパーキンソン病モデル動物(マウスおよびラット)を作成し、的な酸化DJ-1の変動を追跡した。両モデル動物において、経時的な赤血球中の酸化DJ-1の増加と中脳-黒質におげる酸化DJ-1陽性細胞が検出された。 2. アルツハイマー病患者の臨床検体における酸化DJ-1の測定 神経変性疾患の中でも愚者数が多いアルツハイマー病患者の赤血球中の酸化DJ-1の測定を行った結果、健常者に比較して有意に高い値が認められた。しかし、アルツハイマー病はパーキンソン病を併発していることが多く、酸化DJ-1測定による疾患の確定診断は非常に難しい。 3. 酸化変性によるDJ-1タンパク質の高分子化 上記ELISA法により高値を示したサンプルにおいて、有意な酸化DJ-1の高分子化が認められた。また、リコンビナントタンパク質を用いた実験の結果から、高分子化には106番目のシステインの酸化が関わっている事が明らかとなった。 上記記載の通り研究を遂行し、国際誌1報に掲載される成果を得た。
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