研究概要 |
本研究では,海岸飛沫転石帯における十脚甲殻類相の解明とその生息状況を明らかにするための野外調査と,飛沫転石帯環境の保全に関する教育普及啓発活動を行った.本研究期間中に,宮古島,石垣島、竹富島,波照間島,鳩間島,西表島を調査した. 1.海岸飛沫転石帯における十脚甲殻類の生息状況調査 各島の海岸の飛沫転石帯において,十脚甲殻類を採集するための定量的・定性的調査を実施した.その結果,12種(ナキオカヤドカリ,ムラサキオカヤドカリ,オオナキオカヤドカリ,ヤシガニ,ヤエヤマヒメオカガニ,ヒメオカガニ,ムラサキオカガニ,イワトビベンケイガニ,ハマベンケイガニ,ハワイベンケイガニ,カクレイワガニ,オオカクレイワガニ)の十脚甲殻類を採集した.なお,オカヤドカリ類は天然記念物であるため,種を確認した後に逃がした.竹富島・波照間島・鳩間島の各島では,従来,飛沫転石帯の十脚甲殻類相調査が全くおこなわれておらず,多くの初記録種を得た. 2.飛沫転石帯環境の保全に関する普及啓発活動 飛沫転石帯環境の重要性についての普及啓発を図るため,野外調査機会を利用して,調査地住民への教育普及啓発活動を実施した.具体的には,野外調査の際に,地域住民の方々に案内してもらいつつ調査を行った.また,2009年7月22日~8月30日に宮古島市総合博物館において実施された企画展「マクガン(ヤシガニ)と人の暮らし」の製作を担当し,ヤシガニの幼少時代の生息地である海岸飛沫転石帯について紹介した.さらに,宮古島の地元新聞である「宮古新報」に飛沫転石帯に生息するカニ類の紹介をした(2010年2月3日,2月24日掲載)
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