共同研究では、small mitochondrial RNAがヒトの適応、進化、疾病などに関与していることを明らかにすることである。small mitochondrial RNAは、最近発見された20から30ntの長いRNAで、ヒトを含む動物で発現している。これまで、small mitochondrial RNAが免疫系に影響を与え、 ヒトの適応や健康に影響を与える可能性があることが示唆した。本年度は、1000人ゲノムプロジェクトのデータを用いて、小ミトコンドリアRNAの発現や種類が異なるか、また、それらががんなどの疾患と関係があるかどうかを調べた。その結果、小ミトコンドリアRNAが異なるヒト集団やミトコンドリアハプロタイプ間で異なる転写をすることを発見した。さらに、これらのsmall mitochondriaRNAは、がん組織で異なって転写されており、small mitochondriaRNAががんの発生における集団差に関与している可能性が示唆された。この研究成果を記した論文はすでに完成し、投稿できる状態になっている 生殖能力はミトコンドリア機能との関連が指摘されている重要な形質であるため、small mitochondriaRNAが生殖能力に影響を与えるかどうかを、ミバエをモデル系として検証することにした。異なるミトコンドリアハプロタイプを持つミバエの発生胚からsmall RNasを分析することにより、small mitochondrial RNAがこれらの胚の発生に役割を持つかどうかを検証することができる。これは、特定の低分子ミトコンドリアRNAを胚に注入し、これらの低分子RNAが胚の発生に影響を与えるかどうかを検証する。
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