研究課題/領域番号 |
21F21004
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榎原 雅治 東京大学, 史料編纂所, 教授 (40160379)
|
研究分担者 |
HUANG XIAOLONG 東京大学, 史料編纂所, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
キーワード | 地域社会 / 寺社 / 北陸 / 宗教社会構造 |
研究実績の概要 |
2021年度の主要計画は加賀と越前北部の真言寺院を含む地域の宗教状況の調査と、若狭国の顕密寺院と中央寺院の関係の検討である。 東京大学史料編纂所所蔵のボーン・デジタル「滝谷寺文書」を中心に、福井県の真言寺院滝谷寺の未翻刻聖教を調査した。特に、中世段階の付法関係の聖教に対して整理を行った。2021年7月、福井県あわら市内で、越前北部の真言寺院を含む地域の宗教状況を調べた。金津地域にある金津神社、総持寺、溝江氏館跡で調査した。また、加越国境地域にあたる三国・北潟地域にある性海寺、千手寺跡、三国神社、安楽寺と周辺の真宗寺院で現地調査を行った。滝谷寺の聖教調査の成果と合わせて、これらの現地調査の結果に関しては、中国と日本両方の学会での口頭発表を目指して準備を進めていた。2021年7月、石川県小松市の密教寺院那谷寺で現地調査を行った。また、石川県立歴史博物館で資料調査を行った。 2021年10月、滋賀県、京都府、福井県での現地見学と資料調査を行った。若狭国の顕密寺院と中央寺院の関係を調べるため、小浜市の港町や西津地域で、寺院の分布と立地状況について調査を行った。また延暦寺国宝館、滋賀県大津市歴史博物館、龍谷大学ミュージアム、福井県立文書館で資料調査を行った。特に、福井県立文書館では、活字化されていない若狭羽賀寺・妙楽寺の中世文書写真帳の複製本を調査でき、重要な発見があった。その成果に関しては、日本の学会での口頭発表の準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度のメインの計画は越前北部の真言寺院を含む宗教状況の調査と、若狭国の顕密寺院と中央寺院の関係の検討である。進捗状況は下記のとおりである。 越前北部の真言寺院を含む宗教状況の調査の成果は、2021年11月中山大学主催の“亜洲史工作坊”第三期 “歴史地図与東亜形象”「日本中世地方都市的宗教信仰空間:以北陸地区為例」でオンライン報告した。 若狭国の顕密寺院と中央寺院の関係の成果は、歴史学研究会中世史部会の2021年11月例会で報告を行った。 本研究の予備段階での成果を英語での公表も実現した。2021年7月、Japanese Journal of Religious Studies 48(1)でAuthority and Competition: Shingon Buddhist Monastic Communities in Medieval Japanese Regional Societyと題する論文が掲載された。 2021年8月、16th International Conference of the European Association for Japanese Studiesで関連する報告Monks and Rituals in Local Buddhist Temples of Late Medieval Japan: Focusing on Prayer Temples for the Muromachi Shogunateを発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度(2022)は浄土系寺院関係の作業を中心に進める。福井県と石川県などでフィールドワーク・資料調査を行う。 加賀の浄土真宗と時衆勢力を分析し、それと今年度の成果(真言関係)との関係性を検討する。
|