研究課題
以下の二つの研究テーマを遂行した。1)スルホンアミドの活性化に基づくS-N結合の変換反応の開発:まず、申請書の提案通りスルホンアミドをスルホニルフタルイミドに変換することを試みたが、適切な反応性を得ることはできなかった。そこで、スルホンアミドをより活性化度合いの高いスルホニルピロールに活性化することを着想し、実際に検討したところ薬剤分子を含む様々なスルホンアミドを対応するスルホニルピロールに変換することに成功した。活性化されたスルホンアミドは、光化学的または電気化学的活性化、加水分解、トランススルホンアミド化、グリニャール反応剤との反応などのさまざまな方法で、スルフィン酸塩、スルホン酸塩/スルホン酸、スルホンアミド、スルホンに変換できた。以上の成果は、医薬品分子の後期官能基化にも利用でき、スルホンアミドから様々な含硫黄医薬品誘導体にアクセスするための有用かつ実用的なルートを提示した。2) 二酸化炭素源と塩基の二つの役割を果たす反応剤の開発とカルボキシル化反応への利用:トリフェニル酢酸カリウムがトリチルアニオンと二酸化炭素に熱分解することを利用して、有機分子の新たなカルボキシル化法を開発した。この方法は、二酸化炭素ガスの取り扱いに必要な特殊な装置や有機リチウム/グリニャール反応剤などの酸素や湿気に鋭敏な不安定反応剤の利用を避けることができ、シンプルでかつ実践的な優れたカルボキシル化法である。この方法を用いて、さまざまなアレーンのC-Hカルボキシル化や生物活性分子の炭素同位体標識にも応用した。医薬品など様々な重要な分子に含まれるカルボン酸を得るための重要な手法と認知されただけでなく、13C、14Cなどの炭素同位体で標識する新手法としても注目されている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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