研究課題
本研究では、生体適合性の高いイオン液体を用いた核酸医薬送達のための新規ドラッグキャリアの開発とその核酸医薬への応用を目的として行なった。新規バイオ医薬品の開発は、長期安定性の問題や製剤化の難しさから、依然として高いハードルがある。本研究では、これまで生体適合性の脂質誘導型のイオン液体を用いて、アンチセンスオリゴの皮膚浸透性の向上、トランスフェクション機能の向上、および臓器毒性の低減を実現してきた。さらに最終年度は、経皮送達システムにおける有害な原料の使用に代えて、使用材料をミリスチン酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、N -メチルピロリドン、ポリエチレングリコールなど医薬的に認められた材料のみを用いてイオン液体ドラッグキャリアを開発した。具体的な実験としては、生体安全性の高い脂質ならびに脂肪酸を用いた一連のイオン液体を合成し、生体適合性、薬物動態、組織分布、抗腫瘍効果などを検討し、イオン液体ドラッグキャリアとしての有用性を検証した。また、COVIDワクチンの RBDをイオン液体化し、製薬上許容される溶媒との混和性、生体適合性、皮膚透過性、薬物動態を検討し、経皮ワクチン投与が可能なイオン液体製剤を開発した。アンチセンスオリゴを含有したイオン液体システムは、安定性、バイオアベイラビリティ、長期徐放性、全身毒性が従来の注射薬よりも改善されていることを明らかにした。経皮製剤として有効なイオン液体は、共溶媒/可溶化剤を添加することなく、薬剤学的に認められた原材料のみを用いて調製し、経皮吸収性の改善に取り組み、バイオアベイラビリティを注射薬と比較して向上させることに成功した。今後は、今回開発した生体適合性の高いイオン液体をベースとしたリポソームキャリアを設計し、より高効率な核酸送達キャリアの実現を目指す。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件)
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