研究実績の概要 |
SWCNT-BNNTをテンプレートとしてMoS2, WS2, NbS2という3種類の一次元ヘテロ構造の実験的な合成に成功し,その構造制御を行った.Mo, W, Nbの酸化物が硫黄と反応し, 生成物がテンプレート表面に形成された.そして, サンプルを非破壊でTEM観察する新しい解析手法を用いて, それが完璧な一次元ヘテロナノチューブ構造であることを確認した.電子エネルギー損失分光法による元素マップにより, カーボン, ボロン, 窒素の元素と最外層のMo, W, Nb, 硫黄の元素の分布をそれぞれ見ることができた.さらに, 塩と金属源の温度を別々に制御することで, TMDC材料を1Dと2D構造の間で連続的に調整する“Remote salt feeding”という新しい手法を開発した.この方法で, 共通的な二次元TMDC材料の合成を参照, 一次元 TMDCナノチューブ構造を合成の開発に役立てることができた.最後に、直接成長させることができる新型TEMグリッドを開発した.ガラス状炭素を使用することで、高温に耐えられるだけでなく, 高い化学的安定性を持つTEMグリッドを実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画調書を予定通り, 一部は早期に達成しており順調に研究が進展している. 1. TMDC材料の中には, 一次元TMDCナノチューブ構造の一部を実現した. この進捗は一次元ファンデルワールヘテロ構造材料群の最終目標に近づくためのものである. 2.“Remote salt feeding”という新しい手法を開発することで, 一次元TMDC材料の種類を増やすことがより効率的になった. 3. 化学的・熱的安定性に優れた新型TEMグリッドを開発し, 一次元 TMDCナノチューブ構造を合成の開発が容易になった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は“Remote salt feeding”という新しい手法で引き続きTMDCから成る1Dヘテロ構造を形成し, TMDC材料の多様性を拡げる.得られた結果をもとに, 異種のTMDC材料を組み合わせることで面内TMDCヘテロ構造, 面外TMDCヘテロ構造, 一次元合金TDMCヘテロ構造など, 特殊な一次元ヘテロ構造を作製する.
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