研究課題/領域番号 |
21F21064
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
内田 健一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, グループリーダー (50633541)
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研究分担者 |
MODAK RAJKUMAR 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2021-09-28 – 2023-03-31
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キーワード | スピンカロリトロニクス / 磁気熱電効果 / 異常ネルンスト効果 / 異常エッチングスハウゼン効果 / スピンペルチェ効果 / スピン流 / ロックインサーモグラフィ法 / 熱制御 |
研究実績の概要 |
本研究では、スピン流-熱流-電流相互変換特性が最適化された「スピンカロリトロニック・ホイスラー合金」とそのハイブリッド構造の開発を進めている。2021年度の半年間で得られた成果は以下の通りである。
(1) 大きな異常ネルンスト/エッチングスハウゼン効果を示すことが知られているホイスラー合金Co2MnGaとフェリ磁性絶縁体であるY3Fe5O12・常磁性絶縁体であるGd3Ga5O12のハイブリッド構造における熱スピン・磁気熱電変換特性を系統的に調べた(Applied Physics Letters誌に論文掲載)。その結果、ガーネット構造を有する基板上においても、室温成膜したアモルファスCo2MnGa薄膜よりも高温成膜して結晶化させたCo2MnGa薄膜の方が大きな異常ネルンスト/エッチングスハウゼン効果を示すこと、アモルファスCo2MnGa薄膜と結晶化Co2MnGa薄膜は逆符号のスピン流-電流変換能を示すことを明らかにした。 (2) 無磁場下で横型熱電変換が発現するSmCoFe系アモルファス磁性薄膜を開発した(論文審査中・arXiv:2203.10737)。この薄膜は、様々な基板上に成膜でき、非常に大きな残留磁化・保磁力を示す。コンビナトリアル薄膜作製技術を用いて連続的に組成を変化させ、SmCoFe系アモルファス磁性薄膜の異常ネルンスト係数を最適化した。 (3) (2)で開発した磁性薄膜とホイスラー合金薄膜のハイブリッド構造を試作し、磁気熱電変換特性を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
SmCoFe系アモルファス磁性薄膜に関する成果は当初の想定を超えたものであり、ホイスラー合金とのハイブリッド構造化を進めることで更なる成果創出が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
Co2MnGaをはじめとした各種ホイスラー合金とSmCoFe系アモルファス磁性薄膜の積層構造を作製・最適化し、大きな異常ネルンスト/エッチングスハウゼン効果の発現とそのゼロ磁場動作を両立させることを最重要課題として進める。並行して、動的熱イメージング技術とコンビナトリアル薄膜作製技術を組み合わせたスピンカロリトロニクス現象のハイスループット・スクリーニング法を引き続き活用し、ホイスラー合金薄膜における異常エッチングスハウゼン効果およびスピンペルチェ効果の物質開拓を行う。
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