• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

自動車駆動用ハイブリッド界磁フラックススイッチングモータの研究

研究課題

研究課題/領域番号 21F21069
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

小坂 卓  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10324477)

研究分担者 GAO YUTING  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2021-07-28 – 2023-03-31
キーワード自動車駆動用モータ / ハイブリッド界磁フラックススイッチングモータ / 磁束変調モータ / 高トルク密度 / 高効率
研究実績の概要

本年度は,自動車駆動用モータとして受入研究者が既に提案のハイブリッド界磁フラックススイッチングモータ(HEFSM)を出発点に,トルク密度,出力密度,WLTCなど自動車駆動用モータとしての動作サイクル下での電費,冷却や機械構造を踏まえた製造コストなどの各種性能指標を最大限に引き出すための最適なモータトポロジーならびに設計法を検討した。
既提案の従来HEFSMでは,三相電機子巻線と界磁巻線がコイルエンド部で重なっているため,コイルエンド部を含むモータ占有空間体積が増加してトルク密度が低下し,加えてコイルエンド部での巻線長の増加による銅損の増加を招き、巻線巻回製造を困難にさせる。これらの問題点を克服するため,本研究では最大トルクや最大出力を極力低下させずに,界磁巻線と永久磁石を異なるスロットに配置して三相電機子巻線と界磁巻線のコイルエンドの重なりを無くしたHEFSMの新しいトポロジーを提案した。この結果,提案HEFSMは従来HEFSMに比べて高い効率とトルク密度を実現できることを有限要素磁界解析により定量的に検証した。
一方,固定子側に永久磁石を有する従来のHEFSMでは,最大トルク発生に対する永久磁石起磁力の利用率が低く,また永久磁石に加えて全ての巻線起磁力が固定子側に集約されていることから,鉄心面積が狭くなるため,鉄心磁気飽和による最大トルクの飽和という問題を有していた。これに対し,本研究ではHEFSMの磁束変調モータとしての動作原理に着目し,回転子側に永久磁石を配置する新しいトポロジーを提案した。同一永久磁石使用量の下,提案のトポロジーで構成したHEFSMは比較対象である第4世代プリウス搭載の駆動用モータよりも高いトルク密度を実現できることを有限要素磁界解析により定量的に検証した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初研究目的に照らし,本研究では,自動車駆動用モータとしてのHEFSMの動作原理の観点から,ステータ側に配置される固定磁力磁石,可変磁力磁石など磁石起磁力源による磁気装荷や巻線界磁起磁力源による磁気装荷,電機子巻線による電気装荷の各種配置構成組み合わせによって表現されるモータトポロジーついて,他機関の最新研究動向を踏まえた上で実現可能な新たな候補の提案を計画予定しており,計画通り,高トルク密度かつ高効率を実現可能な新たなHEFSMのトポロジーを提案している。
提案したモータトポロジーに対する有限要素磁場解析の性能評価結果と導出した解析式による性能評価結果との比較から,解析式の評価精度を明らかにするとともに,その評価結果に基づいて決定した新規提案トポロジーで構成されるHEFSMの得失について取りまとめを計画予定しており,計画通り,提案HEFSMの得失評価について整理を完了している。これらの研究成果について,国際会議での論文発表を目指していたが,コロナ状況下で来日が遅れたために論文執筆作成が遅れているが,現在鋭意執筆中である。
第4世代プリウス搭載の駆動用モータやその他電気自動車搭載の駆動用モータとの主要性能指標の比較検討を行い,最も有望なHEFSMの最適なトポロジーおよびその設計法についての整理を計画予定しており,これについても計画通り完了しているが,学術論文誌にて論文発表については,上記と同じ理由で若干遅れているものの,論文執筆を進めている。

今後の研究の推進方策

2021年度に提案したトポロジーで構成されるHEFSMを対象に,具体的な冷却設計と機械構造設計を検討し,試作のための図面を作成しつつ,設計法として学会発表を行う。試作図面に従って試作を行うが,予算の関係上,試作モータの一部部品(ロータアセンブリとフランジの一部)の試作費を本科学研究費補助金で計上し,残る部品(ステータアセンブリとフランジの残る一部)をについては受入研究者の大学校費などで計上して試作機を完成させる。目標最大トルク163Nm,最大出力53kW,最高回転数17,000r/minの自動車駆動用モータ試験設備については,受入研究者が所有の高速大容量ダイナモ試験装置に組み付けて行う。なお,計測器も全て完備している。試作機の試験評価ならびに分析を行い,その評価結果を東京モビリティーショーで発表し,開発したモータに興味がある輸送機器関連メーカーとの連携による試験評価を目指す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Comparative Analysis of Double Flux Modulation Permanent Magnet Machines With Different Stator PM Arrangements2022

    • 著者名/発表者名
      Yuting Gao, Takashi Kosaka, Yang Liu, Martin Doppelbauer, Ronghai Qu
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Industry Applications

      巻: 58 ページ: 1941 - 1951

    • DOI

      10.1109/TIA.2021.3138838

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] A Permanent Magnet Synchronous Machine with Interior Halbach Arrays2022

    • 著者名/発表者名
      Yuting Gao, Takashi Kosaka Yang Liu, You Zou
    • 学会等名
      IPEC2022
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi