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2021 年度 実績報告書

ATP-grasp酵素によって生合成される新規環状ペプチドの異宿主生産

研究課題

研究課題/領域番号 21F21095
研究機関静岡大学

研究代表者

小谷 真也  静岡大学, 農学部, 准教授 (20510621)

研究分担者 KAWEEWAN ISSARA  静岡大学, 農学部, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2023-03-31
キーワードATP-graspリガーゼ / 環状ペプチド / 異宿主生産
研究実績の概要

リボソーム翻訳系翻訳後修飾ペプチド(Ripps)の生合成遺伝子クラスターは、バクテリアに広く分布し、多様なペプチドを生合成することが予想される。Rippsの生合成遺伝子の中でも、ATP-graspリガーゼをコードする遺伝子を含むクラスターがバクテリアに広く存在し、翻訳後修飾によって多様な新規環状ペプチドを生成することが明らかとなっている。ATP-graspリガーゼにより生合成される環状ペプチドはプロテアーゼ阻害活性のような生理活性を有する化合物が多く、医薬への応用が期待される。そこで、本研究は、機能未知のATP-gaspリガーゼ遺伝子を含む遺伝子クラスターを用いて、異宿主生産によって新規環状ペプチドの生産および構造決定を行うことである。本年度は、バクテリアのゲノム情報から、複数の遺伝子クラスターを選び出し、生合成遺伝子クラスターのクローニングを行った。すなわち、バクテリアのゲノムを鋳型として、プライマーセットを用いたPCR法で遺伝子増幅を行い、大腸菌の発現用ベクターpET41aに組み込んだ。形質転換体の大腸菌BL21(DE3)株に対して遺伝子の発現誘導を行い、菌体抽出液をHPLCおよびESI-MSを用いて、ペプチドの生産の有無を確認した。その中でも海洋性プロテオバクテリアのMarinomonas fungiaeの遺伝子クラスターを組み込んだ形質転換体の大腸菌に顕著なペプチドの生産がみられ、新規三環性ペプチドmarinomanasinの異宿主生産に成功した。さらにペプチドの単離を行った後、ESI-MSおよびNMRを用いた化学分析を行い、その化学構造を決定した。その結果、構造内に、一つのエステル結合、二つのイソペプチド結合を含む、これまでにない架橋パターンの環状ペプチドであることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度は、新規環状ペプチドの生産に成功した。また生産量が予想よりも大きかったため、計画を前倒しして、構造決定を推進することが出来た。その過程で、大腸菌による異宿主生産においてペプチドの最適な生産条件を得ることができた。ペプチドのNMRスペクトルは、ブロードになりやすいが、測定溶媒の検討により、解像度の良いスペクトルが得られた。

今後の研究の推進方策

さらに、複数のバクテリアの生合成のクローニングを行い、新規ペプチドの異宿主生産を行う。また、合成遺伝子を用いることにより、大腸菌のコドンの使用頻度に合わせた最適化された配列を用いることにより、ペプチド生産量の向上を図る。また、ペプチドの生産量が少ないことが問題であるため、大腸菌の培養の際の培地、培養温度等の複数の条件を試し、最適な生産条件を検討する。また、菌体からのペプチドの抽出に関しても、メタノール等の複数の有機溶媒で抽出条件の検討を行い、ペプチドの分離の工程の最適化を図る。得られたペプチドのNMRの測定においても、重水、重メタノール、重DMSOなど複数の溶媒での測定を行い、最適なNMRスペクトラムが得られるよう測定条件を検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Heterologous expression of a cryptic gene cluster from Marinomonas fungiae affords a novel tricyclic peptide marinomonasin2021

    • 著者名/発表者名
      Kaweewan Issara、Nakagawa Hiroyuki、Kodani Shinya
    • 雑誌名

      Applied Microbiology and Biotechnology

      巻: 105 ページ: 7241~7250

    • DOI

      10.1007/s00253-021-11545-y

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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