令和3年度は遺伝子治療モデルを提唱するために大きく前進した。具体的には、HSCの増幅培養システムをさらに最適化することで、HSC1個からの効率的なク ローニング技術に成功している。また、この培養システムは、1個のHSCを1ヶ月間で33.000倍に増殖させ、以前に報告している方法と比較してさらにHSCを高効率 に増幅可能な培養系を構築した。これらの結果に基づいて、HSCをゲノム編集後に1細胞から増殖させ、目的の変異をもつ、機能的なHSCクローンを選別する方法 を確立した。さらに遺伝子治療を見据えた研究では、HSC1細胞増幅技術を用いて、重症複合免疫不全症(SCID)マウス由来のHSCを体外でゲノム編集を行い増殖さ せたのちに移植した結果、骨髄や脾臓、末梢血におけるBリンパ球、Tリンパ球分画が構築され、機能的回復を認めたことを明確に示した。さらには、HSC遺伝子治 療の安全性と有効性の向上に繋がると考えられ、次世代の医学技術への発展に寄与しすることを明確に明らかにした。これらの成果は現在、国際雑誌に投稿中であり今後のヒト造血幹細胞においても応用が期待できると確信している。
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