研究実績の概要 |
これまでにヒトiPS細胞(iPSCs)から分化誘導した血管内皮細胞(iVECs)をラット大脳白質梗塞モデルの白質梗塞巣に移植すると、歩行障害が改善され、梗塞巣が縮小し、脱髄軸索の再髄鞘化が劇的に促進されることを見出している。またこの時、髄鞘を作るオリゴデンドロサイトの前駆細胞(OPCs)の数が増加し、炎症反応が劇的に抑制されることも見出している(Xu, B., Kurachi, M., Shimauchi-Ohtaki, H., Yoshimoto, Y., Ishizaki, Y.J. Neurochem., 153: 759-771, 2019)。本研究ではiVECsが大脳白質梗塞を改善する分子細胞基盤を明らかにしたい。 iVECs移植による炎症反応抑制作用が大脳白質梗塞改善をもたらしているかどうかを検証する。さらにiVECs移植による炎症反応抑制作用が制御性T細胞(Tregs)を介したものか否かを明らかにする。またiVECs移植により大脳白質梗塞巣においてTregsが増加する場合は、その分子機構を明らかにし、iVECs移植によるOPCs増加にTregsが関与するか否かを明らかにする。iVECsが分泌するエクソソームが培養OPCsの生存を促進することを明らかにしているので、エクソソームに含まれるOPCs生存促進因子を同定する。
|