研究課題/領域番号 |
21F21375
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
成瀬 誠 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (20323529)
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研究分担者 |
ROEHM ANDRE 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2021-11-18 – 2024-03-31
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キーワード | 光リザーバーコンピューティング |
研究実績の概要 |
光リザーバコンピューティングは、光の物理過程そのものを複雑な相互作用を含んだ計算リソース(リザーバ)と見なし、リザーバと観測系の結合部のみを学習の対象とする計算原理であり、簡易な構成でありながら高度な機能を発揮する機械学習手法として近年注目されている。特に、光の高速性を生かした時系列予測などの応用で顕著な効果が示されている。しかし、従来研究におけるリザーバは、単一の光ファイバーを用いた単純な光遅延に基づいている。本来、光を用いたリザーバにはより一般的で普遍性の高い構造を想定できる。本研究は光リザーバコンピューティングに基づく機械学習の計算能力の解明を目的とし、具体的には、当該特別研究員Roehm博士が世界に先駆けて切り拓いた、複数の光遅延を組み合わせた新たなリザーバの極限性能の解明を目指す。さらに、光リザーバコンピューティングの目標機能として従来の時系列予測だけでなくデータの生成機能等へ拡大することを目指す。 研究初年度である当該年度は、光リザーバコンピューティングに関わる研究を東京大学の所属研究室にて実施するための研究環境構築を実施した。特に、遅延帰還を伴う半導体レーザーなどのダイナミクスに関わる数値計算のソフトウエアの整備及び大規模計算に対応するための並列化手法を整備した。また、光リザーバコンピューティングにおける学習方法の新たな手法として、最適制御理論に基づく方法の議論に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の環境整備を進捗させるとともに、原著論文が Chaos 誌に掲載され、さらに当該論文が AIP Scilightにフィーチャーされるなど注目を集めた。また、国際会議発表など具体的進展を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
複数の光遅延を組み合わせた新たな光リザーバコンピューティングにおいて、最適制御理論を用いた設計手法との関わりを見出すことが大きな目標の一つとなる。また、光リザーバーコンピューティングを用いたデータ生成に関しては、システムの動作領域の定量評価などの性能評価の具体化が期待される。
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