本研究では、未だ有効なアプローチが極めて限られている非遺伝子工学的な方法によって、生きた細胞を意図した通りに修飾する戦略の構築を目指している。本年度は、まず、細胞表層や細胞内の特定オルガネラ膜に焦点を当て、様々な蛍光性分子でプラズマ膜だけでなく内膜系であるミトコンドリアやゴルジ体の膜を修飾し、得られた半合成生細胞のその後の挙動を共焦点顕微鏡観察によって解析することを試みた。その結果、脂質の一種であるフォスファチジルコリンに代謝導入によってクリック反応基を修飾した後に、オルガネラ選択的に蛍光団をbioorthogonal化学によってラベル化する方法によって、細胞内膜の挙動が生きたままの状態で、詳細に調べられそうな手応えを得た。またこれ以外のオルガネラ膜修飾手法をいくつか試行錯誤しているところである。
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