研究課題/領域番号 |
21H00487
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋山 聰 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50293113)
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研究分担者 |
板倉 聖哲 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00242074)
増記 隆介 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (10723380)
高岸 輝 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80416263)
芳賀 京子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80421840)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 美術史 / 記述 / コレクション / 宝物 / 比較宗教美術史 / 聖地 / 地域連携 |
研究実績の概要 |
コロナ禍の影響もあり、主として国内での研究調査に比重を置いて、研究を遂行した。必然的に日本・東洋および比較美術史学的調査研究が主体となったが、国内各地の博物館・美術館や聖地霊場を踏査することにより、比較美術史学的観点から有意義な数多くの新知見を得ることができ、その一部を、研究集会やフォーラム等において発表し、議論する機会を得た。具体的には西洋中世において不可視にして神聖視されたものについての記述と、時代が下るにつれてのそうしたものの可視化の諸相を、研究分担者等の協力を得つつ、東アジアの事例と比較し、相互の特性を浮かび上がらせた。コロナ禍の終息に至らず、中々海外調査が難しい中で、国内各地での調査を展開する機会は増大し、比較美術史学的研究は思いのほか深化するとともに、国内諸地域の市民・自治体との交流が促進され、記述を中心とした本研究の人文学的な成果の地方における応用・活用とそれによる地域文化振興の可能性も浮かび上がってきた。端的な例としては、本研究にとっての重要なフィールドである熊野地方の文化・伝統と、一見何の関係もなさそうな地域について、人文学的観点からの比較を試みると、存外人文学的に有用な新知見が得られるだけでなく、相互の相対化によるより深い地域文化理解が進むことも確認され、今後、その国際展開が期待できる。人文学の研究成果を活用しての新たなフィールドワークの可能性も確認できたように思われる。いわばコロナ禍による副産物とも言えるが、人文学の成果の応用可能性を実践的に試行することが、翻って、人文学的研究に新たな視点や知見をもたらすと共に、細分化されすぎた観のある最先端の人文学研究にある種の反省をもたらすことになりうるのではないか、とも思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の状況に応じ、研究対象に適宜変更を加えつつ、専ら国内を研究の場としつつ、研究を展開してきたが、研究自体の進捗状況は概ね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、コロナ禍が終息に向かうと予想されるため、研究および研究成果発表の場を、国内だけではなく、海外にも移し、当初の予定に沿う方向で研究を展開する。
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