研究課題/領域番号 |
21H00525
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
時本 真吾 目白大学, 外国語学部, 教授 (00291849)
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研究分担者 |
曽雌 崇弘 目白大学, 外国語学部, 教授 (00381434)
宮岡 弥生 広島経済大学, 教養教育部, 教授 (10351975)
時本 楠緒子 尚美学園大学, 総合政策学部, 非常勤講師 (10435662)
木山 幸子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10612509)
米田 英嗣 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (50711595)
滝浦 真人 放送大学, 教養学部, 教授 (90248998)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳波 / 心の理論 / 視点取得 / 発生源推定 / functional connectivity / effective connectivity / 間接的発話 / 推意 |
研究実績の概要 |
本研究は、言語コミュニケーションにおける意図伝達のメカニズムを、間接的発話を材料とした神経言語学的実験によって考察する。初年度は、コロナ禍により新しい実験を実施することが難しかったため、既存の脳波データに再解析を施し、日本語文理解における視点取得に伴う神経活動と実験参加者の自閉的傾向との関わりを解析した。頭皮上の電圧分布を元に発生源推定を行い、さらに異なる脳領域の活動について相関関係と因果関係を分析した。分析の結果、右前頭島皮質と楔前部とのベータ帯域における神経活動の因果的関係において性差と視点取得の効果を確認した。研究成果は、2021 Organization for Human Brain Mapping Annual Meetingで発表した。但し、実験参加者の自閉的傾向と神経活動との間に強い相関・因果関係は見つかっておらず、解析を続行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、コロナ禍により新しい実験を実施することが難しかったため、既存の脳波データに再解析を施し、考察を進めた。研究成果の一部は、2021 Organization for Human Brain Mapping Annual Meetingで, "The EEG for perspective-taking in sentence comprehension is correlated with autistic tendency."として発表した。今年度は、感染防止対策を厳重に行い、実験を再開する予定である。また、初年度は、脳領域間のconnectivityの分析手法に習熟することに時間を費やし、技術的な準備を終えたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は既存の脳波データについて、新しい分析手法を適用し、複数の脳領域間のfunctional connectivityならびにeffective connectivityの分析を行った。新しく得られた知見はまだ多くないが、第45回日本神経科学大会で現時点での成果を発表する予定である。また、人間が間接的発話を使用する理由をゲーム理論における「利得」により理解する「戦略的話者の理論」(Pinker, 2008)の実験的検証を意図して、間接的発話理解に伴う神経活動について報酬系と心の理論回路との関わりを分析する予定である。
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