研究課題/領域番号 |
21H00547
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松本 佳穂子 東海大学, 語学教育センター, 教授 (30349427)
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研究分担者 |
服部 孝彦 大妻女子大学, 英語教育研究所, 教授 (40208541)
北澤 武 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (80453033)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グローバル市民教育 / 民主的文化 / 複言語・複文化教育 / 指標構築 / 教育モデル開発 |
研究実績の概要 |
RFCDC (Reference Framework of Competences for Democratic Culture: 民主的文化のために必要な能力の参照枠)という新しい枠組みと付属するポートフォリオが、欧州評議会によって2018年に開発され、2019年からヨーロッパ各地の様々な教育段階で使用されている。これは複言語・複文化的アプローチによる異文化間能力(Intercultural Competence)養成をさらに発展させて、言語・文化の指導を通じて「民主主義に基づくグローバル市民教育」を目指すものである。本研究では、ヨーロッパの実践結果を分析しつつ、この枠組みを日本の外国語教育とコミュニケーション関連科目の中で試行・検証し、日本に合う指標を教育目的・科目群別に選択・収斂して、Can-doリスト型教育目標を構築し、それに基づく様々な教育モデル・評価方法を十分な検証を経て提唱・公開する。今年度の実績は以下である。 1.専門家、教員、学生に対して前年度に行った調査の詳細分析を基に、「民主的グローバル市民教育」の教育段階別指標(試行版)を作成。 2.様々なタイプの授業(一般外国語科目:主に英語、専門英語科目、言語学関連科目、異文化理解科目など)に対して、試行版の指標を基に指導案を作り、各科目数クラス(計21クラス)において実証実験を行った。指導した教員を集めて、授業観察と学生アンケートを基に改良点を議論し、指標と授業案を修正・改善した。 3.実証実験の結果を総合的に分析し、全ての授業の指標とすべき中心的項目と、各科目群に適合する周辺的項目を分けて、完成した枠組みと指標(教育目標)を学校や教師が目的に応じて取捨選択できるような複線的な形式にまとめた。 4.11月12日に大妻中野グローバルセンターにおいて、「グローバル人材育成シンポジウム」を開催し、これまでの成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実証実験を行う過程で、外国語(主に英語)を指導の中心としない一般的コミュニケーション科目や教養科目(異文化コミュニケーション、異文化理解、グローバル・スキル、国際理解など)に対して、本枠組み(RFCDC)とその指標がより広範かつ深いレベルで適用できることが分かってきたため、そういう科目群に対する教育目標や授業モデルを増やすことにした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、科目群を5-6種類に分けて、指標(教育目標)と教育モデルをまとめ、研修会を開いてより多くの先生方に使用して頂く予定である。英語の習得を主目的とするクラスにおいては、学生の英語能力が十分でないために内容が深化できないという問題が報告されているため、様々な問題の解決方法を説明している欧州評議会の教師向けガイドを翻訳して、対策を紹介する。
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