奥州藤原氏と蝦夷ヶ島の砂金、その学際的研究

2023 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 21H00560
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分03010:史学一般関連
• 研究機関: 札幌大学
• 研究代表者: 瀬川 拓郎 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (30829099)
• 研究分担者: 水野 章敏 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (10348500) ; 秦野 裕介 立命館大学, 文学部, 授業担当講師 (20719653) ; 葛原 俊介 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (60604494) ; 岡 陽一郎 東北芸術工科大学, 芸術学部, 准教授 (70961829) ; 中村 和之 函館大学, 商学部, 教授 (80342434) ; 山本 けい子 函館工業高等専門学校, 一般系, 准教授 (90402221) ; 寺門 修 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (90402487)
• 研究期間 (年度): 2021-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 砂金 / 奥州藤原氏 / 成分分析 / ビックデータ / 平泉

研究成果の概要

北海道の太平洋岸の遺跡からは、「かなまり」という平安時代の貴族が用いた金属食器が出土する。これらの遺物は、北海道に住むアイヌの祖先が、平泉の奥州藤原氏へ砂金を朝貢し、それに対する対価として与えられたと思われる。
本研究は、藤原秀衡の館である柳之御所遺跡から出土した金箔を化学分析した。その一方で北海道と東北地方の砂金を分析し、柳之御所遺跡から見つかった砂金が、北海道のものであることを論証しようと試みた。
まだ分析の途中であり、得られた結果は、北海道の砂金とも東北の砂金とも判定できないという結論である。

自由記述の分野

考古学

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究は、北海道から奥州藤原氏へ砂金が朝貢されており、それに対する対価として「かなまり」という高級食器が与えられたのではないかとする仮説を、理化学的に立証しようとするものである。その目標はまだ達成されていないが、もし達成された場合はつぎのことが明らかになる。奥州藤原氏の経済力を支えていたのが、北海道との交易であることが立証される。文献史料では、藤原氏の北方交易についての断片的な記載が見られるが、物証的証拠が得られる。またこれまでは、毛皮や鷲の羽などの北方の産物が交易品として注目されてきたが、砂金の交易という新しい指摘をすることが可能となる。