研究課題/領域番号 |
21H00576
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
片山 剛 大阪大学, 文学研究科, 招へい教授 (30145099)
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研究分担者 |
小林 茂 大阪大学, 文学研究科, 名誉教授 (30087150)
稲田 清一 甲南大学, 文学部, 教授 (60221777)
大坪 慶之 三重大学, 教育学部, 教授 (30573290)
山本 一 立命館大学, 文学部, 講師 (00748973)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 東洋史 / 地理空間情報 / 日中戦争期 / 南京 / 不動産 / 日本人商店 |
研究実績の概要 |
占領下南京における建物の需給状況については、日本人用の住宅に限れば、1941年ごろまで住宅不足が続いていたのは確実である。その一因として、「既存支那家屋の流用」が原則で、新築・改築・増築が基本的に禁止されていたことがある。しかし日中戦争終結後の1947年の報告では新築・改築・増築の事例が存在する。したがって、これら事例がたんなる違法建築か、それとも1941年以降の法令制定による合法的なものか、或いは「敵産管理委員会」等の超法規的な許可によるものか、これが今後の課題となる。 占領下南京の物価については、『南京大陸新報』によれば、1944年5月以降に物価が激しく上昇する。新聞の月決め購読料は、9月分は4月分の5倍で、定食屋の定食価格は5月初に比べて8月に、朝食は6倍弱、昼食は4.5倍、夕食は4.2倍である。また1944年5月の『南京大陸新報』には、「空襲に対する準備は出来たか」など、空襲への注意喚起の広告がある。南京を対象とする米軍による空中写真の撮影は1944年以降に増加していくことから、この時期に日本軍が制空権を失い、それに伴う物資不足で物価が上昇していくことになったと考えられる。 占領下南京における日本人商店の分布について、『南京大陸新報』所載の広告を整理する作業を開始した。作業途中であるが、所謂「日本人街」、特に中山東路・太平路に分布するものが多い。 後掲の小林論文は、南京を含む華中を対象に、三角測量に基いて作製された近代的地形図の原点は、清末に日本の技術者の指導を受けた南洋陸軍実地測量司が、光緒31(1905)年9月に測量を開始し、光緒31年12月に製図を開始した江蘇省2万分の1の地図群であったことを詳細に跡づけるとともに、それ以降の中国および日本で作製された地形図について、前記地図群との継承関係の有無を図郭や三角点の測量データの側面から詳細に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度の計画において、台北の国史館で「南京土地登記文書」の調査を2回実施する予定であった。だがコロナ禍の継続等のため1度も実施できなかった。そのため、本課題において主要と位置づける作業を開始できなかった。すなわち、国史館で収集する「南京土地登記文書」にもとづき、1筆ごとの土地区画について、①日中戦争前夜の土地・建物の状況、②日中戦争初期における建物の損壊・焚毀の有無、③その後の再建・修復の有無、④地主・家主が南京在住か否か等を調べ、これを1929年・1944年撮影の米軍の空中写真と比較対照し、1筆ごとの土地の形状・面積、建物の有無、建物の被害の有無や新築・改築・増築の有無を復元する作業、これを開始することができなかった。そのため「遅れている」と判断した。 なお予算の執行を自粛したため、資料集や文献を購入できなかったが、収集済みの文書史料および既存の資料集・文献を利用した研究を一定程度進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の計画において、台北の国史館で「南京土地登記文書」の調査を2回実施する予定であった。だがコロナ禍の継続等のため実施できなかった。しかし台湾もwith コロナの政策に転換しつつあるので、台北の国史館での調査が実現する可能性がある。そこで、2022年度に国史館調査が実施できれば、「南京土地登記文書」によって1筆ごとの土地区画について、①日中戦争前夜の土地・建物の状況、②日中戦争初期における建物の損壊・焚毀の有無、③その後の再建・修復の有無、④地主・家主が南京在住か否か等を調べ、これを1929年・1944年撮影の米軍の空中写真と比較対照し、1筆ごとの土地の形状・面積、建物の有無、建物の被害の有無や新築・改築・増築の有無についての復元作業を開始して、遅れを挽回する予定である。
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