璽印・ガラス・鉄器からみた西暦１～３世紀日本列島・東アジアの広域交流の重層性

2023 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 21H00600
• 研究機関: 明治大学
• 研究代表者: 石川 日出志 明治大学, 文学部, 専任教授 (40159702)
• 研究分担者: 中村 大介 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (40403480) ; 橋本 裕行 奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, 特別研究員 (80270776) ; 山本 孝文 日本大学, 文理学部, 教授 (40508735) ; 石黒 ひさ子 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (30445861) ; 高橋 浩二 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (10322108) ; 豊島 直博 奈良大学, 文学部, 教授 (90304287) ; 田村 朋美 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (10570129) ; 谷澤 亜里 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (50749471)
• 研究期間 (年度): 2021-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 璽印 / ガラス / 鉄器 / 西暦１～３世紀 / 日本列島 / 東アジア / 広域交流

研究実績の概要

本研究は，（１）璽印をめぐるアジアの中心と周縁，（２）ガラス製品のアジア広域流通網の復元，（３）鉄製武器・利器とその副葬習俗の広域展開，の３テーマを掘り下げるとともに，その総合から西暦１～世紀の広域交流を論じるものである。
2023年度は，（１）に関しては漢魏晋代印の駝鈕の型式学的検討を行い，これまで行った亀鈕・蛇鈕の検討成果との総合を行った。これにより，前漢後期から後漢前期にかけて印鈕型式の再編が進行すること、このうち内臣用の亀鈕の再編に平行して，北方～東方諸族向けの駝鈕が創作され，駝鈕の再加工によって生まれた「漢委奴國王」金印の蛇鈕型式がその後の基本形となったことが明らかになった。（２）と（３）に関して本研究の発端の一つでもあった長野県木島平村根塚遺跡出土のガラス小玉および三韓土器の蛍光Ｘ線分析を行った。根塚遺跡では，弁韓製品とされる渦装飾鉄剣が出土しており，三韓土器が当遺跡の弥生土器・須恵器と異なる測定値が得られたことは重要である。
また，2021～2023年度3か年の研究成果の総括として，『令和3～5年度科学研究費補助金基盤研究（Ｂ） 課題番号21H00600 璽印・ガラス・鉄器からみた西暦１～３世紀日本列島・東アジアの広域交流の重層性 研究成果報告書』（全84頁）を作成した。そこでは，前漢代の鉄製武器副葬，銅鏡副葬習俗が弥生時代中・後期の日本列島に受容されて九州から東方へ波及すること，従来は銅鏡の検討が主であったが，璽印・織物類・大刀類にももっと注目するべきこと，蛍光Ｘ線分析によるとガラス製品やその素材はそれらとは異なる経路・経緯で流通することなどを論じた。

現在までの達成度 (段落)

令和5年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和5年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] 漢魏晋代印駝鈕の型式学・試論 (2024)
  • 著者名/発表者名: 石川日出志
  • 雑誌名: 古代学研究所紀要 巻: 第33号 ページ: 3-17
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 長野県木島平村根塚遺跡出土遺物の理化学的分析 (2024)
  • 著者名/発表者名: 田村朋美・谷澤亜里・中村大介
  • 雑誌名: 璽印・ガラス・鉄器からみた西暦１～３世紀日本列島・東アジアの広域交流の重層性 研究成果報告書 巻: １ ページ: 64-82
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] ガラスの考古科学 (2024)
  • 著者名/発表者名: 田村朋美
  • 雑誌名: 文化財科学 巻: 88 ページ: 47-50
  • 査読あり
• [雑誌論文] アジアにおける漢代併行期のガラス流通 (2023)
  • 著者名/発表者名: 中村大介中村・田村朋美
  • 雑誌名: 古代学研究所紀要 巻: 第32号 ページ: 18-28
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 青銅器時代からウイグル時代の記念建造物と城址 (2023)
  • 著者名/発表者名: 中村大介・木山克彦・臼杵勲・庄司哲朗・アンフバイル-バツォ―リ・ガルダン-ガンバートル・ロチン-イシツェレン
  • 雑誌名: 埼玉大学紀要（教養学部） 巻: 59（1） ページ: 75-97
  • 国際共著
• [学会発表] 匈奴の実像を求めて (2023)
  • 著者名/発表者名: 中村大介・臼杵勲
  • 学会等名: 国際シンポジウム「草原世界の匈奴」
• [図書] 『璽印・ガラス・鉄器からみた西暦１～３世紀日本列島・東アジアの広域交流の重層性 研究成果報告書』 (2024)
  • 著者名/発表者名: 石川日出志（編著）
  • 総ページ数: 84
  • 出版者: 明治大学文学部考古学研究室・日本古代学研究所
• [学会・シンポジウム開催] 日本古代学研究所＜交響する古代14＞ (2023)