研究課題
考古班(近藤康久、三木、黒沼)は、2023年12月23日から2024年1月16日にハジャル山脈南麓タヌーフ地区において遺跡の踏査と発掘調査を実施した。踏査は、ハフィート期墓地の記録を主要な目的にしつつ、28か所の遺跡を記録した。タヌーフ峡谷では、峡谷頂部に近いハフィート墓地WTN18・19・22を記録したほか、複合遺跡であるWTN08・15の踏査を完了した。峡谷奥のWTN21では岩絵を発見した。峡谷出口の山麓斜面に立地するTNF05では保護壁をもつハフィート墓を発見した。アッスウェヒリーヤではSWH18・19において、極めて保存状態の良いハフィート墓を発見した。並行して、タヌーフ峡谷WTN07-122号墓の一部とWTN13-34号墓の発掘調査を実施し、前者はワディ・スーク期から前期鉄器時代、後者はワディ・スーク期の所産であることを確認した。古生態班(蔦谷、板橋、太田)は、貴重な考古糞石試料からのタンパク質抽出を実施する前に、現代の霊長類の糞を用いたプロテオミクスを実施し、実験設備が問題なく使用できることを確かめた。タヌーフ峡谷ムガーラトゥルキャフ洞穴出土の炭化物23点・動物骨4点の放射性炭素年代を得た。その結果として、堆積層の撹乱状況の確認と洞穴の利用が盛んだった時期の推定を行い、また動物骨の年代が得られたことからこの時期に洞穴でヤギに関係した活動が行われていた証拠が示された。また、出土動物骨のタンパク質分析による分類群同定を実施するための設備の整備を進めるとともに、古代DNAの実験系の調整を行なった。思想班(近藤洋平)は、昨年度に引き続き、オマーンで優勢なイスラームの宗派であるイバード派の法学書などを読み、イスラーム成立による諸制度の変化が、現地社会にどのような影響を及ぼしたかについて考察した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLOS ONE
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