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2021 年度 実績報告書

紙文化財補修用材料としての高機能化楮繊維の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H00617
研究機関独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所

研究代表者

稲葉 政満  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 客員研究員 (50135183)

研究分担者 半田 昌規  広島市立大学, 芸術学部, 研究員 (20538764)
貴田 啓子  東京藝術大学, 大学院美術研究科, 准教授 (20634918)
藤本 真人  愛媛県産業技術研究所(紙産業技術センター), 技術支援室, 研究員 (20827521)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード修復材料 / 紙質文化財 / 漉嵌め / ナノセルロース
研究実績の概要

虫食い文書の修復に用いられる漉嵌め法(leaf casting)用に開発した高機能化繊維である高度外部フィブリル化楮繊維は、本紙との接着性が高まるなど、新規な高機能材料として紙本修理の改善が期待される。しかし、石臼式摩砕機(マスコロイダー)による高度外部フィブリル化楮繊維の製造過程には、石臼の状態や原料繊維の状態など影響する因子が多いため、これらについて検討し、最適な製造方法を確立することを目的とする。
そのために、東京藝術大学に石臼式摩砕機を新規に導入した。しかし、新規に導入した石臼式摩砕機で条件を変えて種々試みたが、愛媛大学所有の同型機で行えた高度外部フィブリル化楮繊維の製造が行えなかった。そこで、愛媛県産業技術センターに東京藝術大学の臼を送り、両者の比較試験を実施した。その結果愛媛大学所有の摩耗した臼では製造できるが、東京藝術大学所有の新しい臼では製造できないことが判明した。両者の臼を比較したところ、臼外周部のフラット面の幅が東京藝術大学のは6.4 mmであるのに対して愛媛大学のは8.4 mmと異なっていた。そのため、上下の臼間隔(クリアランス)を同一にした時の水のみの排出時間に倍以上の時間差があることが明かになった。このことが東京藝術大学の臼ではその外周部における楮繊維の滞留時間が短く、そこで生じると考えられる楮繊維の外部フィブリル化率が低い原因と考えられた。また、臼内周部の歯も愛媛大学のは摩耗しており、楮繊維の切断頻度にも影響しているのではないかと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の核となる石臼式摩砕機が部品不足のため、納期が大幅に遅延した。そのため、実質的な研究開始時期が遅れたため。

今後の研究の推進方策

摩耗していない石臼では摩耗した石臼で行えた高度外部フィブリル化楮繊維が製造できなかった。そこで、石臼外周部のフラット面の増加と、臼の歯を丸める処理を段階的に行い、石臼形状の最適条件を検討する。当初予定の高度外部フィブリル化処理が藝大で再現できた段階で、繊維長分布や外部フィブリル化程度の評価を愛媛県産業技術研究所・紙産業技術センターの繊維長分布測定装置により行い、内部フィブリル化程度はSimons染色法により光学顕微鏡を用いて行う。
製造した高度外部フィブリル化楮繊維を添加して漉嵌め法(サクションテーブルと合成粘剤添加 有・無)により強度測定用シートを作成し、その強度測定を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 紙文化財補修用材料としての高機能化楮繊維の調製方法の検討2022

    • 著者名/発表者名
      加瀬谷優子、貴田啓子、西田典由、藤本真人、半田昌規、稲葉政満
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第44回大会
  • [学会発表] ナノセルロ―ス製造法を応用した修復用楮繊維材料の評価2021

    • 著者名/発表者名
      貴田啓子、加瀬谷優子、半田昌規、稲葉政満、西田典由、藤本真人、殿山真央、小瀬亮太、岡山隆之
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第43回大会

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公開日: 2022-12-28  

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