研究課題/領域番号 |
21H00618
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 東北芸術工科大学 (2022-2023) 一般財団法人大阪市文化財協会 (2021) |
研究代表者 |
伊藤 幸司 東北芸術工科大学, 文化財保存修復研究センター, 教授 (50344354)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トレハロース / 保存科学 / 保存処理 / 海底遺跡出土文化財 / 包括的保存処理方法 / 鉄製文化財 / 木製文化財 / 環境保全 |
研究成果の概要 |
出土埋蔵文化財の保存処理は,材質や形状に合わせ様々な薬剤が使用されてきた。中でも、鉄製品については世界的に有機溶剤と合成樹脂を用いる方法が主流である。しかし近年、様々な分野で環境や人体への悪影響を及ぼす薬剤などの使用を制限する動きが加速度的に進んでおり、文化財保存処理分野でも例外ではない。研究代表者が研究を継続している保存処理方法は,自然界に存在する糖の一種であるトレハロースを使用するもので安全である。当初、出土木製品への摘要を進めてきたが,研究の進展によって鉄製品にも有効であることが分ってきた。合成樹脂や有機溶剤の使用から脱却し、トレハロースによる包括的な保存処理方法を研究、成果を得た。
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自由記述の分野 |
文化財保存科学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
文化財は材質や遺存状態などが異なっているため薬剤や方法が多岐に渡るが、各地の埋蔵文化財組織などでは限られた保存処理方法に当てはめて実施しているのが実状である。当研究によってトレハロースよる鉄製品保存処理への有効性が確認できたことにより、50年以上にわたる合成樹脂と有機溶剤の使用から脱却できる可能性が高くなった。特に新潟県長岡市で実施した順動丸鉄製シャフトの保存処理は、専門的な技術を学んでいない地元の人々の手によって保存処理を完遂することが出来た。研究課題名に掲げたトレハロースによる海底遺跡出土鉄製品の保存は、既にオーストラリアから技術移転の依頼が来るなど世界的に注目されている。
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