研究課題/領域番号 |
21H00631
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
石村 大輔 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (00736225)
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研究分担者 |
山田 圭太郎 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構(BKC), 助教 (30815494)
渡部 真史 中央大学, 理工学部, 助教 (30847190)
山田 昌樹 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (40806402)
石澤 尭史 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50849320)
高橋 尚志 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (60848050)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 画像解析 / 砕屑物 / 円磨度 / 津波堆積物 / 洪水堆積物 |
研究実績の概要 |
2021年度は、基礎研究として河川の流下方向と礫種毎による円磨度の変化を明らかにし、応用研究として洪水・津波堆積物の円磨度に基づく砕屑物の運搬過程の推定を行った。基礎研究として行った河川は、相模川、四万十川、常願寺川、天竜川である。これらの結果から得られた河川の流下方向における円磨度の傾向としては、最上流部で急激に円磨が進み、ほとんどの河川区間では円磨度の傾向は漸増傾向を示す。一方、河口部や近くの海岸では、円磨度が増加し、明らかに河川とは異なる傾向を示す。これは河川と海岸の礫の生成・供給過程と円磨過程の違いを反映していると考えられる。また、礫種毎に円磨度が異なることもわかった。いずれの分析結果からも、同一地点の試料では、粒径が大きくなるほど円磨度が大きくなる傾向が得られた。 さらに、福徳岡ノ場2021年噴火が発生し、大量の軽石粒子が海洋へ放出されたため、それらを対象にした円磨度変化も明らかにした。その結果、軽石は海洋へ放出されてから急速に円磨度が増加し、その後は大きく変化しないことがわかった。また、同時期に漂着した軽石でも海岸によって円磨度が若干異なることから、漂着した海岸の状態によっても砕屑物形状に違いが現れることが示唆される。 応用研究の洪水・津波堆積物では、いずれも礫を対象に円磨度計測を行い、給源粒子の混合比を明らかにした。その結果、津波堆積物に関しては、海岸を構成する礫と調査地点と海岸の間の丘陵にある礫が津波堆積物の中に含まれていることがわかり、過去の津波の経路を復元することができた。洪水堆積物に関しては、河床礫と破堤堆積物を比較して、破堤堆積物中には河床を起源とする礫とそれ以外の堤防を構成する礫(人工物も含む)が含まれることが明らかとなった。いずれの研究においても、礫の円磨度情報がイベント堆積物の運搬経路や起源を知る上で有用であることがわかってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎研究に関しては、河川と礫種に着目した結果が得られ、一般的な河川の流下方向での円磨度変化と礫種毎に円磨度が異なることがわかってきた。一部、海岸の試料も分析できたことから、河川と海岸での違いについても予察的な考察ができている。1年目に予定していた基礎研究は十分に進んだと考えられる。応用研究については、適用可能な試料が予想していたよりも多くあったことで予定よりも順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、基礎研究として海岸礫の分析を行う予定である。2021年度に行った河川の河口付近と応用研究で行う海成段丘が分布する地域の海岸を対象とする予定である。この研究から、一般的な河川から海岸での円磨度の特徴を捉えられると予想される。また2021年度の結果を整理・取りまとめし、成果公表を行う。応用研究としては、引き続き2021年度に解析を行った津波・洪水堆積物の研究を進め、成果公表を行う。また、新たに河成・海成段丘を対象に、礫の円磨度計測を行い、現在の河川や海岸の礫と比較することで、礫の情報から過去の環境復元を試みる予定である。
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