研究課題/領域番号 |
21H00663
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
片桐 由喜 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80271732)
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研究分担者 |
石田 道彦 金沢大学, 法学系, 教授 (10295016)
国京 則幸 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (10303520)
菅原 京子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (40272851)
原田 啓一郎 駒澤大学, 法学部, 教授 (40348892)
宮田 賢人 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (40881420)
松田 晋哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (50181730)
西田 和弘 岡山大学, 法務学域, 教授 (70284859)
新田 秀樹 中央大学, 法学部, 教授 (70303576)
太田 匡彦 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80251437)
田中 伸至 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80419332)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 医療保障 / 医療保険 / 国際比較 / 社会保障 |
研究実績の概要 |
本研究は2022年が健康保険法制定100年であることを記念して同法を取り巻く諸課題について総括し、もって将来に向けた医療保険制度、ないしは医療保障法制を展望、提言することを目的として着手したものである。昨年度の研究実績は下記のとおりである。 まず、日本社会保障法学会第77大会において本研究のメンバーが6名が学会報告を行った。最初に西田が報告の趣旨を説明し、健康保険法を振り返り、検証する意義について説明をした。続いて、国京が「医療保険の適用者」、太田が「医療保険の保険者」、原田が「医療保険の保険給付」、田中教授が「医療保険の財政」、石田が「医療保険と医療供給体制」をそれぞれテーマとして報告を行った。 この間の個々人の研究、調査、および、研究会での議論などで得た知見をもとに学会報告を行い、健康保険法、ひいては公的医療保険制度・医療保障制度に関する現時点における学会の到達を示したものといってよい。 また、これらの報告は学会誌に掲載されるものの字数が少なく十分ではないこと、すべての本研究参加者を含んでいないこと、および、報告に接する対象が学会員に限られ、広く世間に研究成果を還元できないことから、あらためて雑誌論文として発表することにした。すなわち、週刊社会保障に2022年10月から毎週、10人の論文を順次掲載した。上記学会報告をしなかった新田は「『国民皆保険』の意味の変遷」、加藤は「働き方の多様化に関する日仏比較」、片桐は「傷病時の所得保障-韓国における傷病手当金制度導入に関して-」と題する論文を寄稿した。また、これら以外にも後掲のとおり、各人がそれぞれの研究成果を様々な媒体で報告、公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のとおり、おおむね各研究者がそれぞれのテーマに基づき着実に研究を進めている。まず、医療保険制度、ないしは医療保障制度の歴史的検証に関しては、国民皆保険の意義、その史的経緯などを視点に新田が進めている。これに加えて宮田が哲学的アプローチから医療保険制度における連帯、あるいは、強制加入を是とする理念などについての研究を行っている。また、昨今の働き方の多様化、ないしはグローバル化に対応した研究として加藤、国京が加入者概念の変遷とそれがもたらす理念的、法的課題について検討を進めている。この加入者と呼応するのが保険者であるが、これに関しては石田、太田が学会報告準備において得た知見を活用し多面的視点から研究している。 これら国内法の再検討、再検証に加えて本研究のもう1つの柱である比較法研究も同時進行で進めている。各研究者が対象国の文献研究、現地の研究者との学術交流を実践している。ただし、この間の新型コロナウイルス感染予防対策により対象国へ渡航して実際に、直接に、各国の最新の現況、細心の議論に接することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は3つの方策に基づき、研究を進める予定である。1つは当初の計画とおり、個々人に割り当てられた研究領域、および、比較法研究を行う。すなわち、①制度全般に対する歴史的/理念的考察は新田、宮田、②加入者概念は加藤、国京、③保険者概念は石田、太田、④現物及び現金給付は原田、松田、⑤財政運営は田中、西田、⑥規制、統制は片桐、菅原がそれぞれ成果物公表を視野に入れて、研究を進める予定である。これら個々の研究課題については各研究者が様々な媒体をとおして、公表・発信する予定である。 このたび、新型コロナウイルス感染予防対策に基づく行動制限がほぼ国内外で解除された。そこで、第2の方策は、この間、渡航できなかった比較法研究対象国へ赴き、研究成果作成に向けて必要な学術交流、日本では入手困難な情報収集を可能な限り実施することである。 3つめは最終的に本研究をどのように成果物として公表するかを本研究構成員で検討し、そのための準備に着手することである。国際シンポジウムとするか、これまでの科研費研究同様に単行本の刊行とするか、あるいは、小規模であるとしても国内外で1つ、シンポジウムを行い、単行本刊行も企画するかのいずれかが考えられる。いずれの方法とするかを協議したうえで、実現に向けた準備を進める。 第一の個別研究の進捗状況の共有、および、第三の成果報告の公表の方法を協議するため、今年度も国内での研究会を数回、実施する。
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