研究課題/領域番号 |
21H00670
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鹿野 菜穂子 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (10204588)
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研究分担者 |
中田 邦博 龍谷大学, 法学部, 教授 (00222414)
川村 尚子 國學院大學, 法学部, 講師 (00805731)
林 秀弥 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(法学), 教授 (30364037)
古谷 貴之 京都産業大学, 法学部, 准教授 (40595849)
カライスコス アントニオス 京都大学, 法学研究科, 准教授 (60453982)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | デジタルプラットフォーム / 契約法 / 民法 / 経済法 / 消費者法 |
研究実績の概要 |
2021年度は、3年間の研究の中の1年目であることから、全体の基礎となるような情報収集および調査検討を中心に据えた。ただし、2021年度は、新型コロナウィルスによる渡航その他の行動制限の影響を大きく受けたので、現地調査や海外研究者の招聘は難しく、文献調査やオンラインでの意見交換等にとどめざるを得なかった。そのため、2021年度中に実施できなかった研究に係る費用につき繰越しを認めて頂き、2022年秋までに以下のような作業を実施して、研究遅延の回復に努めた。 第1に、2021年度には、デジタルプラットフォームのビジネスモデルとそれに関する法規制の分析を行った。特に、2020年に制定された「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」の施行に向けた準備作業(政令の発令等も含む)について、その意義と課題等を検討した。また、2021年には、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」が制定されたことから、その内容の分析および今後の課題に関する検討を行った。 第2に、本研究課題に関する海外の動向、とりわけEUの動向について調査分析を行った。2022年夏には、渡航制限が一部緩和されたことから、ヨーロッパでの現地調査を実施し、EUにおけるプラットフォーム関係の立法制定に向けた議論(後に、デジタル市場法(DMA)およびデジタルサービス法(DSA)として採択された)について、調査し検討を行った。また、ドイツで共同研究会を開き、日本とEUの状況について情報交換および意見交換を行った。 第3に、デジタル広告をめぐる問題、ランキング表示をめぐる問題等についての検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の影響による渡航制限が2022年夏には一部緩和されたため、2022年夏に現地調査はかろうじて実施できたものの、なお、海外でも部分的には行動制限があり、また、日本への入国制限が続いたため日本に海外から研究者を招聘してシンポジウム等を開くことには困難がある等、制約が残っていた。 このような事情により、特に比較法的な研究の一部に遅れがある。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、以下の4つの項目を中心に研究を進める。 第1に、日本においてデジタルプラットフォームに関係する重要な近年の2つの立法、すなわち「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」と「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」の運用状況を調査し、市場の健全化への影響を分析する。また、これらの法律に欠けている民事ルールの在り方に関して、理論的な検討作業を行う。 第2に、ヨーロッパの現地調査を実施し、比較法ゼミナーを実施すること等を通して、比較法情報をさらに収集するとともに、比較法的な見地からの意見交換を行う。 第3に、デジタル広告をめぐる多様な問題を整理し、現行の景品表示法の課題について検討する。また、それとともに、不適切なデジタル広告と取引法・契約法との関係についても検討を行う。 第4に、デジタルプラットフォーム事業者の民事責任ルールについて、その基礎となる考え方と共に研究を深める。
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