研究課題/領域番号 |
21H00675
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
齋藤 実 琉球大学, 法務研究科, 教授 (20424830)
|
研究分担者 |
立石 直子 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (00369612)
町村 泰貴 成城大学, 法学部, 教授 (60199726)
松村 歌子 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (60434875)
矢野 恵美 琉球大学, 法務研究科, 教授 (80400472)
井上 匡子 神奈川大学, 法学部, 教授 (10222291)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 犯罪被害者 / 被害者弁護士 / 犯罪被害者等給付金制度 / 条例 / 北欧 / 地方自治体 / 犯罪被害者庁 |
研究実績の概要 |
①国選の被害者弁護士制度、②犯罪被害者の経済的支援及び③地方自治体や国の官庁の在り方について、主に文献調査を中心に行いつつ、可能な限りでオンライン等を利用してヒアリング調査を行なった。 ①国選の被害者弁護士制度ついて、法務省の検討会での状況等をリサーチするとともに、日本の状況及び主として北欧諸国の状況について文献調査を行った。さらに被害者支援に精通する弁護士からヒアリング調査を行った。②犯罪被害者の経済的支援(犯罪被害者等給付金支給法の現状、課題、さらには加害者への求償の可能性等)については、文献調査を中心に調査を行った。特に、過去の文献にも遡り、歴史的な観点からも文献調査を行うことを心がけた。③地方自治体の状況について、文献調査とともに、条例制定に関与した研究者や実務家よりヒアリング調査を行った。 これらの調査より、日本の被害者支援の現状を改めて認識するとともに、少しずつ課題も浮き彫りとなった。まず、①国選の被害者弁護士制度については、可能な限り広い範囲で被害者弁護士が付される必要があるかと思料される。②犯罪被害者の経済的支援については、緊急の課題であり、犯罪被害者等給付金制度では対応には限界があることが判明してきた。今後、いかなる方策をとるべきかが検討する必要があることが改めて明らかになった。さらに、③地方自治体や国の官庁の在り方では、都道府県レベルでは一定の目途が立ってきたものの、市区町村についてはまだ不十分であることから、いかに市区町村レベルで条例が制定されるかについて注視する必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は①国選の被害者弁護士制度、②犯罪被害者の経済的支援及び③地方自治体や国の官庁の在り方について、文献調査とともに現地調査をすることで、課題及びその対策を講じることを目的としている。 もっとも、本研究の開始当初より、コロナ禍の影響を強く受けた。この中でも、オンラインを最大限活用し、研究会を実施した。さらに、①から③に関わる方々をゲストとして講師を招へいし勉強会を開催するなど起こった。 もっとも、海外での現地調査はもちろんのこと、国内での現地調査もすることが出来ず、調査には限界があったことは否めない。特に北欧の海外調査については、日本国内では情報を入手することが容易ではなく、そのため現地調査が極めて有用であるが、その現地調査ができなかった。北欧調査は、①国選の被害者弁護士制度、②犯罪被害者の経済的支援及び③地方自治体や国の官庁の在り方のいずれにも関わる。そのため、文献調査等については一定の進捗はあったものの、現地調査特に海外調査ができていないことから、本研究は遅れている状況にあると言わざるを得ない。
|
今後の研究の推進方策 |
本来であれば、国内及び海外調査をしつつ進めていきたいとこであるが、コロナ禍の様子を見ながら、ひとまず国内調査を中心に進めていき、海外調査は徐々に情勢を見極めながら進めていきたい。 そのため、①国選の被害者弁護士制度については、国内の検討会等の進捗状況を中心に進めたいと考えている。②犯罪被害者の経済的支援についても、犯罪被害者等給付金支給法の歴史、その後の経緯さらには現状等、文献で対応することができる調査を中心に進めていきたい。③地方自治体や国の官庁の在り方については、地方自治体の条例について進めることを考えている。 これらの調査を踏まえて、積極的に海外調査を行うとともに、場合によっては諸外国からの研究者等の招へいを考えている。海外調査は主として北欧諸国を考えているが、それ以外の諸外国でもオセアニア法制等、被害者支援が進んでいる諸外国の調査も可能な限り行いたい。
|