研究課題/領域番号 |
21H00677
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
磯部 哲 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (00337453)
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研究分担者 |
深町 晋也 立教大学, 法学部, 教授 (00335572)
西迫 大祐 沖縄国際大学, 法学部, 准教授 (10712317)
河嶋 春菜 慶應義塾大学, グローバルリサーチインスティテュート(三田), 特任准教授 (10761645)
小門 穂 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (20706650)
宮崎 千穂 静岡文化芸術大学, 文化・芸術研究センター, 准教授 (20723802)
井上 悠輔 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (30378658)
米村 滋人 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40419990)
小谷 昌子 神奈川大学, 法学部, 准教授 (80638916)
平体 由美 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 教授 (90275107)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 感染症法 / 予防接種法 / 公衆衛生 / 医事法 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症(コロナ)の影響で遅れていた研究活動を後ろ倒しに進行していた影響で、2022年度予算を繰り越し、実施が見送りになっていた国際的な研究調査活動および成果書籍の執筆・編集作業を2023年度に実施した。具体的には、ドイツにおけるコロナ対策法制の総括的研究動向およびアフターコロナの感染症法制への影響の調査、公衆衛生史に関する国際シンポジウムへの参加・登壇、コロナ対策法制に関する包括的研究に関するフランスとの共同研究を中心とする国際的研究を行った。これらの調査を通じて、当該国の法制度または社会に潜在的に存在していた矛盾点、ひずみ、曖昧さなどがコロナを機に顕在化・先鋭化した点がみられた。現在、各国で平時の法制度の改正やパンデミック対策規定の恒常化を含めた改革が進められているが、感染症法制の嚮導理念と一般的な医事法制度とが複雑に交錯する議論が展開されており、個別領域(医療従事者の権限、予防接種における同意、妊産婦医療を含む通常医療の継続など)における新たな医事法的課題の発見につながった。これらの成果の出版に向けた執筆、編集作業も同時並行ですすめ、代表者および各分担者が単著または共著で成果書籍を出版した(または、2024年度初頭に出版予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算を繰り越したことにより、十分な余裕をもって国際的研究および成果書籍等の発表に取り組むことができた。ただし、一部の成果書籍の出版は、編集上の事情により2023年度中に行うことができなかったため、「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
諸外国では、コロナ対策を経て、感染症法制に根本的な修正が加えられている点も見られた。このことを踏まえ、日本における感染症関連諸法律の改正により、感染症法制の嚮導理念の継続、修正、断絶の有無を検証診断する必要がある。また、感染症法制は通常医療との差異に着目して説明されることが多いが、医療実務においては、患者への医療提供という点では通常医療と地続きのものである。そのため、患者の同意、医師による説明義務、病院内外におけるチーム医療、入院環境・条件の整備など、通常医療の法的論点の観点から感染症法制を検証する必要がある。以上の点もできる限り検討し、成果書籍等の執筆編集を行うことが本研究課題における今後の研究の推進方針である。
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