研究課題
本研究プロジェクトでは、金融政策と財政政策の相互連関について、複数のアプローチから分析を行った。得られた研究成果のうち主だったものを挙げると、第一に、実際にモデルから推計された金融政策と財政政策の政策スタンスをみると、過去、必ずしも望ましい組み合わせではなかったことが、日本経済のデフレ的な状況からの脱出を難しくしたことを明らかにした。第二に、そうした状況を別のモデルで解析すると、この間の財政政策は物価押上げに一定の寄与をしてきたものの、他のデフレ要因を打ち消すほどまでには拡張的ではなかったことが判明した。第三に、非伝統的な金融政策の一環として行われた、中央銀行による国債買入は、家計の過剰貯蓄と相まって、国債利回りを大きく低下させ、財政赤字にも関わらず、政府債務が発散的に積み上がることを防いだことがわかった。こうした研究成果は、「低金利と財政維持可能性」という一般向けの雑誌論文(月刊誌「統計」)として公表し、学界のみならず、政策当局者、市場関係者等に広く還元した。さらに、本研究プロジェクトの最終年度には、国内外の研究者(延べ参加者数は100名以上)を招聘した国際コンファレンス(Japan Economy Network)を主催した。研究成果の報告は高い評価を得た。個々の研究成果は、査読付き論文2本として公表されたものに加え、上記国際コンファレンスを含めた多くの学会での報告を経て、査読誌への投稿を行っており、今後、公表論文数の上積みが期待される状況にある。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Journal of Economic Dynamics and Control
巻: 153 ページ: 104699~104699
10.1016/j.jedc.2023.104699
統計
巻: 74 ページ: 14-21