研究課題/領域番号 |
21H00756
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
寺本 高 中央大学, 商学部, 教授 (60609915)
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研究分担者 |
清水 聰 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (40235643)
齊藤 嘉一 明治学院大学, 経済学部, 教授 (50328671)
本橋 永至 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50707239)
鶴見 裕之 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (70581198)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 買回行動 / 商圏内 / ポイントプログラム / モバイルマーケティング / トライアル / リピート |
研究実績の概要 |
「研究A:消費者の移動行動基点による商圏内需要測定モデルの構築」の研究として,消費者の家計簿履歴データを用いた消費者の商圏内買回行動の定量分析を行った。この履歴データを活用した研究の具体的観点の一つとして,政府が実施している非金銭的給付政策である「マイナポイント」を獲得した消費者が,そのポイントの使途を巡る買回行動の特徴把握を行った。この研究の新たな知見として,「ポイントを受け取った初週や2週目にはポイントを支出せず,3週目からポイントを使った買物を行うこと」「ポイントの支出は若年層に比較的多いこと」「ポイントの付与が現金支出を増やすことはなく,あくまで付与されたマイナポイントは通常の現金支出と切り分けて「別建ての予算」として捉えられている」などが導き出された。 「研究B:競合店顧客の買回り行動基点によるモバイル・マーケティング理論構築」の研究として,共通ポイントの1社である「Tポイント」の会員のプロモーションへの反応履歴と購買履歴を用い,Tポイントに加盟している小売業者1社に焦点を当て,当該小売の過去未利用者によるトライアル行動の特性を明らかにした。この研究の新たな知見として,「当該小売業と親和性のある業態を積極的に利用する会員が多くトライアルすること」「当該小売のモバイルプロモーション情報には過去閲覧したがまだ購買していなかった会員が多くトライアルすること」「Tポイントを多く獲得し,また多く使う,つまりTポイントの収入・支出が高い会員がトライアルすること」などが導き出された。この研究成果は国内学会発表および国内査読付学術誌に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究Aについては,データ提供企業からのデータ授受後,分析に必要な小売業者マスターの作成作業に予定以上の時間が生じてしまい,分析に着手するまでに時間を擁してしまった。そのため,買回行動のひとつの契機,刺激となる非現金給付政策「マイナポイント」の効果に着目した分析までに留まっており,本来目指す商圏内買回行動のモデル化の検討までにはまだ至っていない。 一方,研究Bについては分析作業,報告準備が順調に進み,研究成果は国内学会発表および国内査読付学術誌に掲載済である。
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今後の研究の推進方策 |
研究Aについては,「マイナポイントの効果」の成果の学会発表,論文化を進めていくのに合わせ,商圏内買回行動のモデル化の検討として,共通ポイントカード各社の参入状況との関係を踏まえた買回行動を明らかにしていく予定である。 研究Bについては,各種モバイルプロモーションによる消費者の購買行動(トライアル購買,リピート購買)への影響について明らかにしていく予定である。
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