研究課題/領域番号 |
21H00759
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
清水 聰 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (40235643)
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研究分担者 |
赤松 直樹 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (40758801)
齊藤 嘉一 明治学院大学, 経済学部, 教授 (50328671)
寺本 高 中央大学, 商学部, 教授 (60609915)
中野 暁 明治学院大学, 経済学部, 講師 (20963135)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 消費者の意思決定プロセス / Web回遊 / アイカメラ / 脳波 / サステナブル |
研究実績の概要 |
2022年度は、購買意思決定に至るまでの実験と、アンケート調査によるサステナブル商品の購買実態の把握、そして海外論文への投稿を主として行った。 まず実験はオンライン店舗での購買意思決定を探るため、協力企業のバーニーズNYのウェブサイトを用いた実験を11月に行った。ファッションに興味のある100名ほどの被験者をインターネット調査会社のモニターから集め、実際にウェブサイトで買物かごに商品を入れるまでの様子を、1)ウェブ回遊データでどのページを眺めたのかを集計し、2)その際、そのページのどの部分を眺めていたのかをアイカメラで測定し、3)その際の脳波の出方を感性アナライザを用いて測定する、の3つで捉えた。データのコーディングに時間がかかっているため、2022年度は単純集計しかできなかったが、購買に至るまでの道筋は大きく3つに分類できること、長い時間眺めている商品に必ずしも関心が高いわけではないこと、それまで気持ちよく探していても、価格を見ると不快を示す脳波が出やすいことなど、興味深い結果が導かれた。 アンケート調査は、高級衣料品を購入する人を対象に行った。その調査からは、サステナブルブランドは必ずしも環境に対する意識の高い人が購入するわけではなく、一つの流行として捉えている人たちも多いこと、価格が高くても自分がサステナブルな人間だと感じられるのならば抵抗なく買う人もいることなど、商品特性と人の特性の関係が示された。 海外論文は消費者のネット上での意思決定に関する研究で、2021年度に文献研究した知見を加え、研究分担者の斉藤教授、寺本教授、それに研究協力者であるピッツバーグ大学のInman教授の指導を仰ぎ作成した。完成した論文は、2023年3月に、マーケティングのトップジャーナルであるJournal of Marketing Researchに投稿し、現在査読結果を待っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回のプロジェクトで最大の難関と考えていた、Webの回遊+アイカメラ+脳波、の3つを併せた実験が2022年度に行えたことが1つ目の理由である。今まで誰も試したことのない実験であるため、被験者の確保、実験器具の正確な測定可能性、データのコーディングなどの一連の実験の流れをきちんと組み、データ収集ができる保証がなかったため、実験のやり直しを2023年度に行うことも念頭に入れていたが、2022年度の前半を用いて入念な準備を行った結果、2022年度の1回の調査でデータが収集できた。これにより2023年度は実験に時間を割くことなくデータ分析に集中できることになった。 また懸案だった海外トップジャーナルへの投稿を、2022年度内に行えたことも順調に進展している2番目の理由である。海外トップジャーナルへ掲載するには、精緻な実験をいくつも重ねると同時に、複雑な分析をしなければならず、非常に時間がかかる。上記で示したアイカメラと脳波を組み合わせた実験は、2022年度に投稿した論文の発展として位置づけられる。このため、2022年度に投稿した論文が採択された場合には、上記実験データを用いて執筆する論文も採択される可能性が高まる。 当初の計画以上に進まなかった理由は、データの供給で協力関係にあるバーニーズNY社が、日本の家電小売大手であるラオックス社に買収されたため、購買履歴データとWeb回遊データの提供に審査が入り、予定より供給が遅れているためである。当初は購買履歴データ、Web回遊データと実験データを併せて同時に分析を行う予定であったが、それが不可能になった。このため実験データの分析を先に行い、購買履歴データとWeb回遊データが供給されたのちに、それらのデータを併せて考慮する形に計画を変更した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度に行った実験データ、ならびにオンラインとオフラインでの購買履歴データ、Web回遊データを用いて、統計的な分析を行い論文化していく。上記の進捗状況で示したように、購買履歴データとWeb回遊データの提供が遅れているため、2022年度の実験データを用いた分析を先に行う。論文化にあたり、夏には研究協力者のピッツバーグ大学のInman教授、同じく研究協力者のシンガポール国立大学のLeonard Lee教授と打ち合わせを行う予定である。また英語論文として作成する前に、秋に開催される日本消費者行動研究学会で実験データを用いた分析結果を発表し、感触を得ることにしている。英語論文として投稿できる形に今年度中にする予定で進めている。 購買履歴データならびにWeb回遊データを入手後は、Web回遊データでその購買実態を明らかにする分析を行い、実験で明らかにする細かい消費者の反応の分析の前の、Study1として論文の中に組み込む予定でいる。この部分の解析はデータコーディングの必要がないため、実験データほどは時間がかからないが、データの分量が多いため、かなりの分析スキルが必要であると考えている。このため分析に強い研究分担者の中野専任講師、斉藤教授に入ってもらう。 サステナブルブランドの調査については2023年度も引き続き、2022年と同じ対象者について行う予定である。この調査結果については、研究協力者のカーティン大学のIan Phau教授とオンラインで既に打ち合わせを開始している。この研究は研究分担者の赤松准教授を中心に進める。カーティン大学には冬に訪問することになっており、そこで最終的な論文化に向けての集中的な議論をする予定である。このアンケートを用いた調査・分析についても、今年度中には論文化を目指している。
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