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2022 年度 実績報告書

近代日独の社会学説と高等教育との相互作用に関する学際的研究―新発見資料による―

研究課題

研究課題/領域番号 21H00783
研究機関佛教大学

研究代表者

野崎 敏郎  佛教大学, 社会学部, 教授 (40253364)

研究分担者 田中 智子  京都大学, 教育学研究科, 教授 (00379041)
恒木 健太郎  専修大学, 経済学部, 教授 (30456769)
鈴木 宗徳  法政大学, 社会学部, 教授 (60329745)
三笘 利幸  立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60412615)
内藤 葉子  大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (70440998)
メンクハウス ハインリッヒ  明治大学, 法学部, 専任教授 (70515915)
橋本 直人  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80324896)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード日独学術交流史 / 日本社会思想史 / ドイツ社会思想史 / 日本の大学史 / ドイツの大学史
研究実績の概要

前年度に実施した研究会とシンポジウムにおける討議に依拠して、社会学説と高等教育と社会運動との具体的な関連づけに取り組み、第二帝政期・明治中期の思潮、政治状況、大学事情等を考証した。
野崎と橋本をドイツに派遣し、各地の公文書館・図書館等を訪問し、主としてヴェーバーおよびその同時代人たちの足跡に関わる調査を実施した。野崎は、3月期に、カールスルーエ総合公文書館、プロイセン文化財枢密公文書館(ベルリン)、バイエルン州立図書館手稿室(ミュンヒェン)を訪問し、プロイセンにおけるアルトホフ体制と、バーデンにおける大学行政に関わる資料を閲覧し、前者における専制的処断を嫌ったドイツの大学教員たちがバーデンへと流出していく状況を解明した。橋本は、エディット・ハンケ氏と情報交換を行ない、第二帝政期のドイツ社会科学の学問状況に関する文献およびその著者について調査した。
メンクハウスは、日普修好通商条約に関連する考証を進めた。田中は、井上毅文相期に射程を広げ、井上毅―木下広次という熊本人脈が、森有礼と必ずしも対立的ではないことを解明した。
内藤は、マリアンネ・ヴェーバーが、夫マックスおよび新カント派哲学の影響を受けつつ、経済的自由主義の弊害を批判したフィヒテから労働権と生存権と人間の権利への倫理的関心を抽出したことを明らかにした。鈴木は、ハーバーマス初期の公共性論を手がかりとして、十八世紀のブルジョア的公共圏をモデルとする公共性論が市民的不服従の政治理論や社会運動論を受容してゆく過程を跡付けた。
三笘は、近代文化が行き着く先に、「機械的硬直化」という事態が人間に生じることをヴェーバーが見通していたことを解明した。恒木は、ゾンバルトの『ユダヤ人と経済生活』に対するフランツ・オッペンハイマーの評価が多面的なものであることを指摘し、両者の関係の再検討を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

海外渡航計画をほぼ予定通りに実施でき、ほぼ想定していた調査結果を得た。反面、ウクライナ危機をはじめとする国際情勢の激変によって、本研究開始時には予想もできなかったほど航空運賃や海外宿泊料が高騰しており、そのため、海外調査日程を極力圧縮するとともに、いくつかの国内調査の取り止めを余儀なくされた。
各自の調査および研究活動全般には進展が認められるが、反面、研究組織としての取り組みが弱かったことは反省すべきである。

今後の研究の推進方策

上述の理由から、海外渡航費をはじめとして、研究資金に余裕がなくなっており、そのため、研究計画のコンパクト化が求められる。すでに実施した調査の結果は充実したものであるので、それに依拠して、現在までに解明できた事項の学際的な精査を進めることを重視して、研究成果の最終的な取りまとめ方法を案出したい。
次年度は最終年度であり、総合的・包括的・学際的な研究成果を目指している。そのため、ミーティングを多く持ち、各自の研究成果を共有し、全体の成果の統合を図る。学際的な性格のシンポジウムを計画しているが、確保できる予算も勘案して、シンポジウムの規模は小さなものとし、日独の社会科学者と大学史研究者による緊密なディスカッションを実現させたい。また、研究成果の公刊方法についても検討する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (7件) (うちオープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 〈資料の紹介と研究〉マックス・ヴェーバーのフライブルク大学移籍をめぐって―人事の実相への補遺―2023

    • 著者名/発表者名
      野崎敏郎
    • 雑誌名

      佛教大学社会学部論集

      巻: 76 ページ: 43-66

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] マックス・ヴェーバー没後100年シンポジウム 学知の危機とマックス・ヴェーバー―科学主義と反知性主義を超える―2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木宗徳、恒木健太郎、内藤葉子、橋本直人、太子堂正称、三笘利幸、野崎敏郎
    • 雑誌名

      大原社会問題研究所雑誌

      巻: 763 ページ: 49-62

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] マリアンネ・ヴェーバーにおけるフィヒテの社会主義論―労働権と生存権および人間の権利への関心―2022

    • 著者名/発表者名
      内藤葉子
    • 雑誌名

      理想

      巻: 707 ページ: 78-91

  • [雑誌論文] 「機械的硬直化」する近代人―「資本主義の機械的化石化」という解釈から『倫理』論文を解放する―2022

    • 著者名/発表者名
      三笘利幸
    • 雑誌名

      立命館産業社会論集

      巻: 58(2) ページ: 37-52

    • DOI

      10.34382/00017761

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] マックス・ウェーバーと〈意味〉の地平―科学主義とシュタムラー法哲学とのはざまで―2022

    • 著者名/発表者名
      橋本直人
    • 雑誌名

      神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要

      巻: 16(1) ページ: 73-82

  • [雑誌論文] 『マックス・ウェーバー』(野口雅弘著)・『ヴェーバー入門』(中野敏男著)2022

    • 著者名/発表者名
      橋本直人
    • 雑誌名

      社会思想史研究

      巻: 46 ページ: 215-220

    • DOI

      10.24546/0100476855

  • [雑誌論文] マックス・ヴェーバーにかかわる二つの人事の実相―フライブルク大学移籍とハイデルベルク大学正嘱託教授案件―(4・完)2022

    • 著者名/発表者名
      野崎敏郎
    • 雑誌名

      佛教大学社会学部論集

      巻: 75 ページ: 55-78

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 直接行動を考えることによって公共性論を鍛えなおす2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木宗徳
    • 学会等名
      日本社会学理論学会第17回大会シンポジウム「公共圏の可能性と限界」
  • [学会発表] 第一次世界大戦とドイツ市民女性運動―戦争協力か平和主義の追求か―2022

    • 著者名/発表者名
      内藤葉子
    • 学会等名
      大阪公立大学女性学研究センター第26期女性学講演会

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公開日: 2023-12-25  

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